バブルとは何だったか 拓銀最後の頭取が手記で語る紀伊国屋書店大手町ビル店

全10章の中盤、「バブルの実相」「合併構想」「破綻の真相」と続く5~7章が、バブルに突き進んだ拓銀の現実と、拓銀を取り囲んだ経済全体の流れや金融政策、世間の空気をあぶり出す。インキュベーター(新興企業育成)路線といわれた不動産関連の新興企業への融資。その路線を推進する一派の暴走を止められず、軟着陸をめざすうちに泥沼化していく。それでもトップは責任を取りたがらない。

バブルに踊った拓銀の実態をきびしく回顧するとともに、自身が経験した逮捕、起訴、裁判と続く一連の断罪プロセスも丁寧に振り返る。供述調書がつくられる取調室でのやりとりが生々しい。国策捜査でスケープゴートにされたという著者の感想は無理もないと思わされる。この裁判で一審の弁護を務めた弁護士の息子が本書を構成した新聞記者だったことも最後の方で明かされる。

バブル期見つめ直す機運続く

「先々週は野口悠紀雄『平成はなぜ失敗したのか』がよく売れていて、先週になると『最後の頭取』が伸ばした。やはりバブルや失われた30年を振り返る本はここでは強い」とビジネス書を担当する西山崇之さんは話す。この分野では16年秋以来、『住友銀行秘史』『バブル』『野村證券第2事業法人部』などのヒット本が続く。バブルをもう一度見つめ直す機運はまだ続いているようだ。

それでは、先週のベスト5を見ておこう。

(1)未来経済都市 沖縄安里昌利著(日本経済新聞出版社)
(2)FACTFULNESSH・ロスリングほか著(日経BP社)
(3)学びを結果に変える アウトプット大全樺沢紫苑著(サンクチュアリ出版)
(4)最後の頭取河谷禎昌著(ダイヤモンド社)
(4)不動産テック 巨大産業の破壊者たち北崎朋希、本間純著(日経BP社)
(4)できるUiPath 実践RPA清水理史、できるシリーズ編集部著(インプレス)

(紀伊国屋書店大手町ビル店、2019年2月18~24日)

1位は沖縄をアジアに向いた玄関と位置づけ、ビジネス拠点としての可能性を訴えた本(参考記事:「『日本の玄関』沖縄の大チャンス 成長アジアから活力」)。元沖縄銀行頭取が著者だ。2位に『FACTFULNESS』。3位は18年11月に本欄でも取り上げたビジネススキル本が入った(参考記事:「アウトプットこそ成長の源泉 精神科医が説く仕事術」)。今回取り上げた手記は同率4位3冊の1冊に入った。残り2冊は1冊が不動産×ITで起こり始めた変化を追い、解説する内容。もう1冊は定型的業務を自動化するロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)の実務書だった。

(水柿武志)

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