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司法取引、効果のほどは 弁護士の役割が重要に

2019/3/5

裁判官も司法取引の合意を尊重するとみられるが…

最近、司法取引という言葉をニュースでよく目にします。2018年6月から、犯罪を疑われた人が捜査に協力した見返りとして、検察が求刑を軽くすることができるようになりました。日本版司法取引と呼ばれており、供述や証拠の得にくかった組織犯罪などを解明する効果が期待されています。

簡略化すると、司法取引にはプレーヤーが4者います。取引を通じ、容疑者は、共犯者らの犯罪についての供述や証拠の収集に協力することなどを約束できます。検察官は、見返りに起訴を見送ったり求刑を軽くしたりすることが可能です。弁護士も含めた3者で協議し、合意が取れれば書面にまとめます。容疑者が証拠をでっちあげたりすると、5年以下の懲役が科されます。検察官は合意を守らないと、取引で得た供述や証拠を裁判で使えなくなります。

4者目のプレーヤーである裁判官は、合意内容を認めなかったり求刑よりも重い刑を言い渡したりすることができます。ただ、プラム綜合法律事務所(東京・新宿)の梅沢康二弁護士は「合意が簡単に破棄されると、制度が活用されなくなる。まだ適用例が少なく断言はできないが、裁判官も合意を尊重するのでは」と話しています。

司法取引では、容疑者に共犯者らを裏切らせるだけの見返りが必要となります。カギとなるプレーヤーは弁護士でしょう。刑法の研究者は「容疑者の持つ情報の価値だけでなく、取引を持ちかけるタイミングの見極めも重要だ」と指摘します。

取引をしそうな容疑者が他にもいるなら、相手よりも先に持ちかけなければなりません。ただ早すぎれば、検察側の情報収集の程度によっては価値が低いと判断されかねません。取引は、容疑者が起訴された後も可能です。

米国では、刑事事件の90%以上で司法取引があるともいわれており、自分の罪を認めることで刑を軽くすることができます。日本では重刑を逃れるためにやっていない罪を認めてしまうことを問題視する声もあり、共犯者など他人の罪についての司法取引しか導入されていません。また、被害者らの感情への配慮もあり、殺人や性犯罪などは対象外となっています。

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