「白血病」ってどんな病気 急性と慢性の違いは?「急性骨髄性白血病」について知ろう

日経Gooday

治療効果は、骨髄中の白血病細胞の数から判定する。急性骨髄性白血病の治療では、白血病細胞の数が10の9乗を下回った場合を「寛解」と呼びます(図中オレンジの線)。ところが、寛解と判断された後でも、再びがん細胞が現れることがあり、これは「再発(再燃)」と呼ばれます。

治療効果は、骨髄中の白血病細胞の数から判定します。急性骨髄性白血病の治療では、白血病細胞の数が10の9乗を下回った場合を「寛解」と呼びます(図2中、オレンジの横線)。ところが、寛解と判断された後でも、再びがん細胞が現れることがあり、これは再発・再燃と呼ばれます。再発するケースのほとんどは2年以内に見られるため、寛解から5年ほど経てば、治癒したとみなされます。

●完全寛解

骨髄の中の白血病細胞がほぼ減少し(10の9乗未満)、造血機能も回復した状態。体内には白血病細胞が残っている可能性がある。

●血液学的完全寛解

骨髄の中の白血病細胞が顕微鏡検査で目視できず、血液検査で白血球・赤血球・血小板の数が正常範囲内にある状態。体内には白血病細胞が残っている可能性がある。

●分子学的完全寛解

白血病細胞が持つ染色体異常(遺伝子変異)を目安にして、より精密に検査をしても白血病細胞が見つからない状態。この状態でもなお、体内には白血病細胞が残っている可能性がある。

【抗がん剤による副作用】

急性骨髄性白血病の化学療法では、強力な抗がん剤で一気に白血病細胞を減少させるため、脱毛、吐き気や嘔吐、口内炎、下痢といった副作用が生じます。しかし、かつては多くの患者さんが吐き気や嘔吐を訴えていたものの、制吐剤などにより、苦痛を軽減できるようになっています。

【造血幹細胞移植】

造血幹細胞移植は、通常の化学療法よりも大量の抗がん剤治療や放射線治療を行うような場合に検討されます。そのような場合には、白血病細胞を限りなくゼロに近づける一方で、正常な血液細胞も死滅し、血液が作れなくなってしまいます。そこで、正常な造血幹細胞を移植して、造血機能を回復させるのです。

造血幹細胞移植には骨髄移植、末梢血幹細胞移植、さい帯血移植があり、移植する造血幹細胞の提供者(ドナー)は自分自身、兄弟姉妹などの血縁者、骨髄バンクなどに登録している非血縁者となります。造血幹細胞移植の適応は、病型や染色体異常、全身状態、ドナーの有無などを考慮して決定されます。

急性骨髄性白血病の治療では、まず抗がん剤を用いた「寛解導入方法」が行われます。病気の経過(予後)が良い場合は、「地固め療法」を、良くない場合は「造血幹細胞移植」を検討します。(日本血液学会編「造血器腫瘍診療ガイドライン 2018年版 」(金原出版)をもとに作成)

急性骨髄性白血病の病後の経過

急性骨髄性白血病は、抗がん剤による治療効果が高く、治癒も期待できます。全体での寛解率は約80%程度となっています。寛解導入療法、地固め療法を終えた人の5年無病生存率(5年間病気が確認されない状態で生存している確率)は約20~40%です。また、再発しても、その後の抗がん剤治療や造血幹細胞移植によって治癒が得られる患者さんも少なくありません。

2018年末には、再発や難治性の急性骨髄性白血病を対象にしたFLT3阻害薬(FLT3という遺伝子に変異を持つ人に有効な分子標的薬)が登場。現在もいくつかの分子標的薬の開発が進んでおり、化学療法の選択肢が広がりつつあります。

ただ、遺伝子の異常のタイプ、年齢が60歳以上、寛解までの治療回数が2回以上といった予後不良因子によっては、化学療法の治療効果が期待できない場合もあり、寛解率や5年無病生存率も低くなります。

(ライター 田村知子)

森慎一郎さん
聖路加国際病院血液内科部長。1964年生まれ。1989年自治医科大学卒業後、都立墨東病院レジデント、小笠原村母島・三宅島・青ヶ島診療所、都立駒込病院血液内科、都立衛生研究所ウイルス研究科などを経て、2003年国立がん研究センター幹細胞移植科医長に。2011年聖路加国際病院血液腫瘍科部長、2016年から現職。日本内科学会認定医、インフェクションコントロールドクター、認定産業医、厚生労働省健康局長 医師緩和ケア研修会修了。

[日経Gooday2019年2月20日付記事を再構成]

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