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宮本亜門 オペラ「金閣寺」新演出で三島由紀夫を語る

2019/2/19

三島由紀夫原作、黛敏郎作曲のオペラ「金閣寺」が演出家・宮本亜門氏の新演出によって2月、東京で上演される。東京二期会とフランス国立ラン歌劇場の共同制作で、2018年3月に仏ストラスブールで新演出初演され、好評を博した。東京での凱旋公演を前に亜門氏に三島文学とオペラ演出について聞くとともに、歌手や指揮者の声も交えて「金閣寺」の魅力を探った。

「高校生のときに読んだ。自分のバイブルのような感じがあった」。三島氏の長編小説「金閣寺」(1956年刊)との出合いについて亜門氏はこう話す。応永4年(1397年)、室町幕府3代将軍・足利義満が開基となり京都に創建した臨済宗の名刹・鹿苑寺(通称・金閣寺)。金箔に輝く国宝の舎利殿「金閣」に学僧が火を放ったのは1950年のこと。この事件を題材に、溝口という青年僧が放火へと至る屈折した心理を、硬質な文体と精緻な論理構成で描いた小説だ。現代日本文学の傑作として翻訳され、三島氏はノーベル文学賞候補にも挙がっていた。

衝撃の事件から三島氏の姿を重ねて読む

「中学生の頃、三島自決のニュースがテレビで流れ、両親が大騒ぎした」。70年11月25日、三島氏は自衛隊市ケ谷駐屯地で決起を呼びかけた後、自決した。この事件の衝撃もあり、「三島作品を読むとどうしてもそこに三島さん自身の姿を重ねてしまう」と亜門氏は語る。「溝口、柏木、鶴川という登場人物3人は三島さんの分身。コンプレックスを持つ青年・溝口の心象風景のすべてに、神のように絶対的な金閣寺が入ってくる。美と醜の二元論的テーマがいくつもある」。そして「戦前、戦中、戦後をテーマにしている」点も魅力という。

三島文学とオペラ「金閣寺」を語る演出家の宮本亜門氏(2月8日、東京都新宿区)

亜門氏は舞台版「金閣寺」を演出した実績もある。しかしオペラの演出にあたっては「音楽の魅力が最大限に生きなければならない。舞台版の演出をいったん捨て、黛敏郎さんのオペラの中に入り込んで作った」。黛氏はオペラ「金閣寺」の作曲に向けて親友の三島氏本人に台本を頼んだが、実現しなかった。しかし三島作品の世界文学としての高い評価を背景に、オペラにする機会は海外から来た。ドイツの名門歌劇場ベルリン・ドイツ・オペラが黛氏に作曲を委嘱したのだ。台本はクラウス・H・ヘンネベルク氏によるドイツ語。1976年にベルリンで世界初演した。

亜門氏は新演出に向けて「黛さんの音楽を聴き、譜面を読み始めた際に葛藤があった」と言う。「小説での溝口は吃(きつ)音だったが、オペラでは手に障害を持つ人に変わっている。黛さんも葛藤したところを演出家の僕も歩まざるを得なかった。黛さんが入れ込みたかったお経の音楽的な力は、小説にはそれほど書かれていない。この黛オリジナルにどう向き合うか」でも苦心した。

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