高級食パンが広げる市場 イベントや愛好家サイトも

18年11月にオープンした「セントル ザ・ベーカリー青山店」(東京都渋谷区、パン愛好家サイト「パンめぐ」から転載)
18年11月にオープンした「セントル ザ・ベーカリー青山店」(東京都渋谷区、パン愛好家サイト「パンめぐ」から転載)

高級食パンの人気が高まり、パンに注目が集まっています。パンに関連するイベントが各地で開かれ、パンの愛好家が集まるサイトも誕生しています。

高級食パン人気の先導役は2013年に東京・銀座で開業した食パン専門店「セントル ザ・ベーカリー」や大阪発祥で全国に展開する「乃が美」などで、素材や製法の独自性を競い合っています。2斤を千円近くで販売している専門店が多く、順番待ちの人が店の外に並んでいる光景をよく目にします。

食品やヘルスケア関連のPRを手掛けるエムスリー・カンパニー(東京・渋谷)はパン愛好家のコミュニティーサイト「パンめぐ」を運営し、サイトの会員が投稿した記事を掲載しています。松本淳社長は「都心の人気店に地方から高級パンを買いに来る人もいる。愛好家にとってパンの購入はレジャー感覚で、熱量の大きさを感じた」とサイトを立ち上げた動機を説明します。同社によると、あるパン専門店では顧客の平均購入額は2000~4000円。「レジャーとしては割安で、手軽に楽しめる」と分析しています。

高級パン人気は他の商品にも波及しています。カネカの子会社、カネカ食品は昨年春、パン専門店向けに「パン好きの牛乳」を発売しました。北海道の生乳を使い、後味がパンと合うように工夫した商品で、量販店などにも販路を広げています。

業界推計によると、食パンの売上高は国内のパン全体の売上高の1~2割にあたる3千億円強で、ここ数年、ほぼ横ばいです。業界紙、パンニュース社の矢口和雄社長は「パン全体の売上高も1980年代前半から横ばい。日本人が夕食にパンを食べるようにならない限り、傾向は変わらない」とみています。

そんな中で、専門店による高級食パンの売り上げはすでに年間100億円を上回っているもようです。矢口社長は「贈答用にする人も多く、専門店は新市場の開拓に成功した。食のブームは2~3年で終わりがちだが、いつまで人気が続くのか注目している」と話しています。

ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら
出世ナビ記事アーカイブ一覧