経済力と決定権 40~50代働く女はキングギドラ世代
「日経ARIA」創刊
2020年に指導的地位の3割を女性に。政府が目標とする「2030」を待つまでもなく、働き続けて40~50代になり、仕事、生活、地域で主導権を握る新しい女性の層が出現しつつある。働く40~50代女性を対象にした調査結果を基に、この層に向けて創刊したウェブメディア、日経ARIAの羽生祥子編集長に聞いた。
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悪名高い「M字カーブ」で知られる日本の女性の就業率。この5年間で、M字の落ち込みが大きく解消し、「富士山型」に近付いています。3年前には子を保育園に入れられない女性の「保育園落ちた日本死ね」が話題になりましたが、「育休世代」という言葉も広まり、出産・育児でキャリアを中断しない女性たちが大きな層になってきているのは確かです。
では次の5年、10年には何が起きるのか。働き続けた女性たちは、その働き方も意識も確実に変わっていくはずです。様々な場で指導的立場を担う女性も急増します。働く40~50代女性に向けて2月18日に創刊した日経ARIAは、この層を対象にワークライフ意識調査を実施。2200人以上から回答を得ました。
「これから転職/起業したい」は4割
回答した40~50代の働く女性のうち、管理職・リーダー職の比率は24%。約4人に1人で、もはや決して少数派ではありません。
回答者層の特徴の一つといえるのが、自己肯定感の高さです。「管理職やリーダー職は楽しいですか」という質問に対して回答者の約3分の1が「楽しい」と答え、「楽しくない」という回答の2倍以上でした。さらに、「仕事」と「プライベート」について満足度を答えてもらった結果も、それぞれ「70点」「80点」という回答が最多の比率を占めており、満足度はかなり高いといえます。
これから転職や起業を考えているかという問いに対しては、「考えている」が38%。この比率も非常に高いと思います。少し前までなら、40代や50代で転職や起業を考えること自体、あまりなかったことではないでしょうか。
「職業人・母・自分」の顔を持つキングギドラ世代?
この世代は、仕事では様々な分野をパイオニアとして切り開いてきたという自信やバイタリティーのある人たちです。キャリアを重ねてきたことによる経済力や決定力を手にしており、さらに家庭や地域社会の中でも決定権を持っています。しかもこれまで育児をしてきた人は子どもの手が離れ、ある程度の時間も得ています。職業人として、母(または妻やパートナー)として、自分という個人としてパワフルな複数の「顔」を持つキングギドラみたいな存在が、マイノリティーではなくマスの集団として出現してくることは確実です。
現在はワーママ1年生でも10年後には、収入も時間もあって会社でも地域でも活躍する女性たちが登場してくるわけで、これはかなりパワフルな層だと思います。
昨今のキーワードである「100年人生」を前提に考えると、ライフスタイルも変貌していきます。40~50代はこれまで、人生の折り返し地点などといわれていましたが、折り返すとか引き返すというネガティブなイメージではなく、100年の人生を考えればまさに舞台のど真ん中にいる時期です。さらには、「夫のため」「子どものため」「会社のため」、誰かのために全力疾走してきた時期からいま一度、自分のトラックを走ってみようというチャレンジングな時期でもあります。
組織に残り続けてリーダーになるのもいいし、転機や使命を感じることで起業したり、社会課題に取り組んだりするのもいい。学びでも、人生最初の20年の教育だけではその後の数十年は対応できないでしょう。大学院に行くなど学び直す人も増えているのは納得できます。
そうした女性たちの「働く・学ぶ・遊ぶ」をたたえたいというのが日経ARIAのコンセプトです。様々な分野で「自分軸」の生き方を体現するロールモデルを著名人、企業で働く人の双方から多数取り上げていきます。
働き続ける女性を想定すれば、美容情報でも単に若々しさを目指すだけではなく、交渉力を上げる表情筋の鍛え方とか、管理職になって座りっぱなしのお尻を美しく保つエクササイズ法など、様々な情報ニーズが生まれます。そうした新しい世代のニーズにこたえていくのが日経ARIAのミッションです。ご期待ください。(談)
40~50代で働いている大人世代。これから働き直したい、働き方を変えたいと思っているひとたち。ママでも、夫婦ふたり暮らしでも、独身でも。人生の真ん中に立った今、「自分の歌」をもういちど歌い、夢を語り、かなえていく場にしていきたい。日経ARIAは、そんな大人世代が人生を丸ごと味わうためのパートナーになります。これからどうぞ、よろしくお願いします。
(日経ARIA編集長 羽生祥子)
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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