NMB48卒業の山本彩 「カッコいい」存在になりたい
NMB48のキャプテン、センターとしてグループをけん引するとともに、抜群の歌唱力でAKB48の選抜メンバーとしても存在感を見せてきた山本彩。2018年にNMB48を卒業して、今後は音楽を軸にソロとして活動する。どんな新しい「山本彩」を見せたいと考えているのだろうか。
約8年間にわたって在籍していたNMB48を卒業した山本彩。18年10月27日に地元・大阪の万博記念公園東の広場で開催された卒業コンサート「SAYAKA SONIC」には3万人のファンが集まった。16年にソロデビューして、NMB48と並行しながらソロ歌手としても活動してきた。ギターの弾き語りによるフォーク調の楽曲をはじめ、バラードやロックなど幅広い楽曲を歌いこなす歌唱力は評価が高く、詞曲も手掛ける本格派だ。
「グループにいた頃は、自分の音楽をやりながら、いかにグループに還元するかを考えていたので、卒業して音楽に対する気持ちが大きく変わりましたね。
最近は、準備期間として、ちょっと時間ができたのですが、家にいて黙々と曲を書いたり、テレビを見ていると、早くお仕事がしたくて、不安になります。
長い休暇は、最後ですね。2019年は、お休みはいりません。1年が終わったときに『今年はずっと動いてたな』と振り返ることができるように、いろんな活動がしたいです」
ギター以外の楽器も練習中
山本は16年と17年にソロツアーを行ったが、3回目のツアーはこれまでとは違ったものになりそうだ。また、2ndアルバムでは13曲中7曲で作詞・作曲を手掛けたが、曲作りでも19年は新たなチャレンジをしたいと言う。
「今までの2回のソロツアーは、アルバムをひっさげてのツアーでしたが、次のツアーは、そのときに自分がどういう曲を歌いたいか、何が自分に求められているかを考えて、向き合っていきたい。
グループにいた頃のライブは、演出に助けてもらったり、大人数だからこそ生きていた部分がありましたが、これからは音楽を聴かせることで魅了させられるようになりたいですね。今はギターを持って歌ったりもしてますが、曲によってはギター以外のピアノやドラム、ベースとかを自分で演奏していけたらと思うので、楽器は、ちょこちょこ練習してます。
曲作りのほうも、今はデモを作るときにはケータイのボイス録音にギター1本で弾きながら歌って編曲家の方にお渡ししていますが、ゆくゆくは自分でも編曲して、パソコンなどを使ってトラックから自分でデモを作ったり、ほかの方のための曲のデモを自分で作ったりもしたいです。今までとは違うタイプの曲も作っていきたいですね。最近はヒップホップやレゲエもよく聴くので、そういう音楽も取り入れていきたい」
現在は、自分の引き出しを増やすために、様々なアーティストのライブを見ていると話す。
「最近ではMr.Childrenさんのコンサートを見せていただいたり、(18年)春にニューヨークに行ったときには、ボン・ジョヴィさんのライブを見ました。
映画『ボヘミアン・ラプソディ』も見ましたよ。クイーンさんはあまり聴いたことはありませんでしたが、自分がやりたい音楽と、需要と供給が一致するかどうか分からないということに苦しむシーンなどは、共感する部分もあって、刺激を受けて、見終わったときには泣いてました。
今までもテレビの歌番組で、いろんなアーティストの方とコラボをさせていただいて、やってみて初めて起きる化学反応があったので、これからは単発の企画だけでなく、シングルやアルバムの作品でもコラボができたら。そのきっかけになるように、これからは音楽番組やフェスで一緒になる方と、人見知りせずにお話できたらなって(笑)。例えば、以前お会いしたこともありますが、椎名林檎さん。椎名さんだったら、私にどういう世界を描いてくれて、自分をどういうふうにプロデュースしてもらえるのかなって思います」
2019年からの私は活発に動く
NMB48時代と同様に、音楽以外の分野にも積極的に挑戦していきたいと語る。
「ナレーションだったり声のお仕事もやっていきたいですし、舞台、ミュージカルもライブと同じようにナマモノなので興味があります。今はMBSラジオで『アッパレやってまーす!』という番組を担当させていただいていますが、ラジオのお仕事も続けていきたいです。今はファンの方も私がこれからどうなっていくのか不安になってるようで、ラジオだけが私の唯一の生存確認になってるみたい(笑)。
19年からの私は、活発に動くと思います。ライブを拠点に人前で歌って、そこでいろんなものを感じたいなと思っているので、ナマのものが増えるかなと。今までの握手会とまったく同じようなものをやっていくかは分からないので、これからはその代わりになるものとして、ライブがみなさんとつながる機会になると思います。
『こういうふうになりたい』と目指してもらえるような人間になっていきたい。実際、私に影響されてNMB48に入ったと言ってくれる女の子もいたので、自分って、誰かの刺激になっているんだなと思って、うれしいですし、『もっと自分を磨かないとあかんな』って。同性だけでなく男性にも『カッコいい』と思ってもらえるような存在になりたいですね」
(ライター 高倉文紀)
[日経エンタテインメント! 2019年2月号の記事を再構成]
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