旅行・レジャー

旅・風景(ナショジオ)

楽園に残る馬との暮らし 南太平洋マルケサス諸島

日経ナショナル ジオグラフィック社

2019/2/20

ナショナルジオグラフィック日本版

ヒバ・オア島の黒い砂浜で、馬と共に躍動するジェレミ・ケフエヒトゥ(PHOTOGRAPH BY JULIEN GIRARDOT)

マルケサス諸島(マルキーズ諸島ともいう)は、海に落ち込む急峻な緑の峰々、滝がある谷、目をみはる尖った岩で知られる。豊かな自然の遺産に加え、マルケサスの人々が守る伝統文化がタトゥー、舞踊、言語、乗馬だ。7年前から南太平洋の仏領ポリネシアに住むジュリアン・ジラルド氏は馬乗りたちの物語を切り撮った。

◇  ◇  ◇

マルケサス諸島は、タヒチと同じ仏領ポリネシアに属するが、ターコイズブルーの礁湖は見当たらない。12の火山島のうち6つの島に人が住んでいる。ジラルド氏が撮影したのは、ウア・フカ島のボヒ・ブラウン、ヒバ・オア島のルシアン・“パコ”・パウテヘアとジェレミ・ケフエヒトゥの3人だ。ちなみに、ヒバ・オア島は、タヒチを描いた画家ポール・ゴーギャンが晩年を過ごした島として知られる。

前日に友人たちと捕らえた若い馬を慣らすウア・フカ島のボヒ。ボヒは子どものころから馬と信頼を築く作業を繰り返しており、その訓練技術はマルケサス諸島で広く知られている。写真1/2(PHOTOGRAPH BY JULIEN GIRARDOT)
写真2/2(PHOTOGRAPH BY JULIEN GIRARDOT)

ウア・フカ島に馬が導入されたのは19世紀半ばのことだ。フランスの海軍将官、アベル・デュプティ=トゥアールが贈り物としてチリから運んできた。それを島民たちが長い年月をかけて飼い慣らし、道なき谷、急斜面、高い尾根を越える完璧な移動手段とした。馬のおかげで、島民は野生化したヤギやブタを狩る範囲を大きく広げることができた。狩った獲物は、伝統の「ウム」という地中のオーブンで時間をかけて調理される。

肉に加えて、島にはパンノキ、ココナッツ、マンゴー、バナナなど豊富な熱帯の果実、さらには海の恵みがあり、マルケサスの島民たちは長く「土地の豊かさを享受してきました」と、写真家のジラルド氏は話す。車が持ち込まれ、道路が建設された今では、「ほとんどの島民が日本製のピックアップトラックに乗って店に行き、米国産の米やパスタ、冷凍チキンを買いますが」とジラルド氏。それでも、迫りくるグローバル化に抗い、何世代も続いてきた馬との文化を守ろうとする人たちが今でもいると、ジラルド氏は言う。

ヒバ・オア島の台地に茂るファルカタの森を、野生の馬の一群が駆け抜けていく(PHOTOGRAPH BY JULIEN GIRARDOT)

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