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ペットボトルで就活が失敗も ~大学の日常を引きずる怖さとは ホンネの就活ツッコミ論(90)

石渡嶺司 大学ジャーナリスト

2019/1/11

年が明けて就活シーズンが動き出しました。インターンシップにセミナー、合同説明会や各種就活イベントも盛んになってきています。当コラム読者の就活生も色々と参加していることでしょう。すでにエントリーシート提出を求める企業も出てきており、私のところにも添削依頼の学生が増えてきました。年明けには岡山で開催された就活イベントにも参加。そこでふと気付いたのが、大学の日常です。これを引きずる学生ほど就活で苦戦する可能性が高いことに気づきました。

そこで、今回は学生が無意識のうちにやってしまう大学の日常について、「ペットボトル」「後ろから座る」「すぐ帰る」「コートを着たまま」の4点、解説します。

机の上にペットボトル→マナー知らず

講義を受けている最中に机にペットボトルを出しっぱなしにする。もはや大学の日常と言ってもいいでしょう。大学や講義によっては教員の話を聞きながら飲む学生も珍しくありません。

このマナー違反は「今どきの学生は」論で語ることもできます。ただ、大学や講義によっては昼食休憩の時間が取れないので講義を受講しながらの飲食を認めているところもあります。それから大学教員によっても差があり「今どき、ペットボトルを飲む程度で怒っていては身が持たないから黙認している」「講義の合間の休憩時間が少ないことを考えると致し方ない」などの意見もあります。

そこで学生はペットボトルを悪気なく、机の前に置くようになります。これを就活に引きずるとどうなるでしょうか。

企業からすれば、「初歩的なマナー程度すら知らないのか」と見てしまいます。「説明会で社長が講演しているときに、お茶を飲んでいる学生がいた。社長は降段後、『あの学生の名前をチェックして、必ず落とすように』と静かに怒っていた」(機械メーカー)

私も就活セミナーやキャリア講義で、このペットボトル学生によく遭遇します。先日などは2年生向けのキャリア講義でこの話をしたところ、その直後に、いつも通りお茶を飲む学生が後ろの方にいました。メンタル強いな~。私も見習いたいものです。もっとも、その強さ、仕事で発揮したら逆に仕事を失う気もしますが。

後ろから座る→気弱でコミュニケーションできない

大学の講義で前から座っていく、これをできる学生はそうそういません。まあ、よほどの少人数講義・ゼミでは嫌でも後ろに座りようがないので、それは別として。大人数講義だと、後ろから席が埋まっていき、前がぽっかり空く、というのは大学ではよくある話です。

ところが、これを企業説明会などでやるとどうなるでしょうか。「早く来てくれても後ろから座られるとちょっと違和感を覚えます」とは、教育系企業の採用担当者。「うちの説明会はそこそこの人数が来ます。なので前から詰めて座ってくれないと、始まる間際に遅れてきた学生をどこに座らせるか、面倒になる。そこで『最前列から詰めていってくださいね~』と案内するのですが、それでも真ん中程度に座ろうとする学生もいます。学生に悪気がなくても、よほど気弱でコミュニケーションをしたくないのか、と考えてしまいます」

終わった後にすぐ帰る→質問の機会を逃す

説明会や合同説明会イベントなどでは、質問の時間が設けられています。そこで質問する学生は質問していきます。そこで質問できなかったとしてもそれは別に構いません。ただ、説明会やイベントなどを取材(あるいは参加)していてもったいないと思うのは、終了後にすぐ帰ってしまう学生の多さです。

学生からすれば、決められた予定が終われば次の予定に、という思いなのでしょう。中にはアルバイトや次の説明会などすでに予定が入っている学生もいるでしょう。とは言え、大半の学生はそんなに慌てて出て行かなくても余裕があるはず。それなのにすぐ帰ってしまうのはちょっともったいなさを感じます。

今年、私は就活取材の最初が岡山で開催された食品業界イベント「お菓子な採展」(就実大学で開催)です。カバヤ食品、オハヨー乳業、林原や地元・岡山の和菓子メーカーである廣榮堂、竹久夢二本舗敷島堂など12社が参加。学生も約110人参加で盛り上がりました。

ところがこちらも最後はすぐ帰ろうとする学生が続出。私はこのイベントに相談ブースを出しており、そこに来ていた学生に、「もう帰るの?」と聞くと「ええ」との返事。しかし、その前に希望企業の話を聞きたかった、と愚痴っていたはず。「この会場は17時30分に完全撤収です、とアナウンスしていたよね? ということは今、16時40分だから、50分は君ら、好きに質問できるんだよ」と話したところ、「え?大丈夫なんですか?」と驚いていました。

空いた時間にどこまで質問するか、これは空気を読む必要があります。例えば説明会を複数回実施する合同説明会の場合、どうでしょうか。説明会が終わって10分程度ですぐ説明会がまた始まる(しかも同じ担当者)ときに長く質問するのは、採用担当者にとっては負担です。あるいは、私が参加した食品業界イベントの場合、17時30分に完全撤収であればどうでしょうか。その時間間際まで質問をしているのも、採用担当者にとっては負担です。

が、逆に言えば、複数の担当者がいて質問できそう、あるいは空いていそう、ということであればどんどん質問できるはず。そうした機会を逃してしまうのは、就活生にとってもったいない話、と考えます。

コートを脱がずに屋内に入る→マナー知らずで想像力も乏しい

就活の序盤戦はこの冬から春にかけて。当然ながら、日本全国、大体は寒く、コートを着る学生が多いはず。このコート、大学であれば、教室によって寒い所もありますし、着たまま入る学生も珍しくありません。ところがこのコートを着たまま、説明会のある会場屋内に入ろうとするとどうでしょうか。

「うちだとマナーに厳しいので、名前をチェックして書類選考で落とします」(金融)「その程度のマナーも知らないのか、と思うとちょっとがっかりですね。コートを着たままで会社に入っても、それだけで落とすことはしません。とは言え、やはり総合的にうちではしんどく、中盤以前の選考で落ちていきます」(商社)

このコートを着たままの是非について、金井重要工業の金井宏輔・取締役(前・採用担当)はこう話します。「企業によっては、『コートを着たまま入ることのまずさがわかっていない』としてマナーの部分で落とす企業もあるでしょう。いや、マナー的な部分は教育すれば変わっていくので他の部分も含めての総合評価、という企業もあります。弊社だと後者でしょうか。ただ、『周囲がコートを脱いでいるから自分も脱ぐ』『キャリアセンターで脱ぐのがマナーと教えられたから脱ぐ』という硬直した発想、疑問を感じない姿勢は気になります。これは教育しても変わりにくいところです。弊社は古い体質だった企業を新しく変えようとしています。そのため、一つ一つの行動に疑問の持てない何も考えていない学生はちょっとしんどい部分があります」

たかだかペットボトル、たかだかコートです。後ろから座ってすぐ帰っても大学では文句を言われません。ところが、就活では、文句も言われませんが実は選考にしっかり結びついているのです。

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年札幌市生まれ。東洋大学社会学部卒。2003年から大学ジャーナリストとして活動開始。当初は大学・教育関連の書籍・記事だけだったが、出入りしていた週刊誌編集部から「就活もやれ」と言われて、それが10年以上続くのだから人生わからない。著書に『キレイゴトぬきの就活論』(新潮新書)、『女子学生はなぜ就活で騙されるのか』(朝日新書)など多数。

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