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就活ではなく将来見据えた英語学習を TOEIC講師 ヒロ前田(2)

ヒロ前田 TOEIC講師

2019/1/21

第1回で、企業は英語を使って稼げる人を求めているとお伝えしました。お金を稼げるだけの英語力は、これからの時代に特に重要な力だからです。ただ、企業が大学生に「稼ぐ力」を期待しているとは言えません。稼ぐ力は、入社してから養っていけるからです。

では、英語力はどうでしょうか。高い英語力を持つ学生と、そうでない学生を比較した場合、仮に他の能力が同じならば、どちらが採用されるでしょうか。英語力だけが判断基準になることはないでしょうが、英語を必要とする企業にとって、社員の英語力は高いに越したことはないでしょう。

ですから、近い将来に就職活動をするあなたには、できる限り英語力を高めておくことをお勧めします。ここで重要なのは、その英語力が「ビジネスにおけるコミュニケーション」を前提とする点です。

TOEICスコアは正解を選ぶ力

現在の日本で、英語力を表す指標として広く活用されているのはTOEIC L&Rテスト(以下、TOEIC)です。しかしながら、TOEICがマーク式のペーパーテストである以上、そのスコアが意味するのは「与えられた選択肢から正解を選ぶ力の高さ」です。そして、その力は「ビジネスコミュニケーションを前提とした英語力」に一致するとは限りません。なぜなら、コミュニケーションのための英語力の伸び以上に、TOEICスコアを上げることができるからです。スコアを伸ばすこと自体を目的とした英語学習は可能ですし、実際、そのようにスコアを伸ばしている人はたくさんいます。(スコアアップを目的とした学習に苦言を呈するつもりはありません。学習の目的は人それぞれですし、急いでスコアを伸ばす必要がある人には、むしろスコアを伸ばすための学習を推奨します)

一方で、英語でのコミュニケーション力が比較的高い人が、高いTOEICスコアを取るケースもあります。そのような人が、仮に900点(受験者の上位3%)を取ったとします。ハイスコアを取るための対策をして取った900点と、ビジネスコミュニケーションを前提として英語力を鍛えた結果として得た900点とでは意味が違いますし、それぞれの人が「できること」も当然異なります。(英語力の点に限れば)企業にとって役立つのは後者ですが、スコアを見てもその判断はできません。

「話す」試験も検討を

せっかく企業が求める英語力を持っていても、その事実を相手に伝えるには何かしら証明が必要でしょう。ですから、あなたには別のテストも受験することをお勧めします。英語でのコミュニケーション力を高めるだけでなく、それを数値化することが目的です。例えば、同じTOEICブランドに「TOEIC S&Wテスト」があります。Sは「スピーキング」を、Wは「ライティング」を意味します。いずれも英語を運用する力を測るため、マーク式テストに比べれば、ビジネスシーンでの英語コミュニケーション力がより正確に表れます。

TOEICブランド以外のテストとして推奨できるのは、ベネッセコーポレーションが運営する「GTEC」です。GTECには3つの異なるバージョンがあり、大学生には「大学生・社会人版」をお勧めします。「読む」「聞く」「話す」「書く」の4技能を短時間(約90分)で測定するGTECをボクは何度か受験したことがあり、英語コミュニケーション力を測るテストとして優れていると思っています。

TOEIC S&WテストもGTECも、簡単にスコアを上げられるテストではありません。だからこそ、そのスコアは信頼できると言えます。ビジネスシーンで活きる英語力を鍛えつつ、それらのテストを受験してスコアを持っておけば、就職活動時に、ほかの学生とは違う印象を与えることができるでしょう。

現時点で広く普及しているのはTOEICですが、だからと言ってTOEICにこだわる必要は全くありません。時代の流れを見ると、英語の「4技能」はますます重視されていくでしょう。それを示すように、TOEIC S&Wテストの受験者数は2012年度約1万人でしたが、2017年度は3万8千人にまで伸びています。

「スコアを伸ばす」から「力を伸ばす」へ

ぜひ、英語を学ぶのは「就職活動のため」ではなく、「将来のため」と考えてください。そうすれば、あなたの意識が「スコアを伸ばす」から「力を伸ばす」へ向かうはずです。よく言われるように、1年間で1,000時間を英語学習に費やせば目に見える成果が出るはずです。そして、それを2年間続ければ、「あの人は英語ができる」と言われるようになるでしょう。年1,000時間とは、毎週20時間です。これをビジネスシーンでのコミュニケーションを想定した英語学習に充てることで、少なくとも英語力の点においては企業が社員に期待する英語力を圧倒する力を手に入れることができますし、周りの誰よりも高い英語力を持つ存在になれます。

ほかの大学生が、スコアを伸ばすための対策に没頭する間に、あなたは将来のための英語力を養ってください。効果的なのは「英語を聞いて真似する練習」です。これを学習の中心に据えることで実践的な力を高めることができます。具体的な学習方法については次回に譲ります。

ヒロ前田(ひろ・まえだ)
TOEIC受験力UPトレーナー。大人のための勉強スペース「T’z英語ラウンジ」経営。全国の企業・大学でスコアアップ指導を行うほか、教員を対象とした「成果の出るTOEICの教え方」のセミナーも実施する。TOEICの受験回数は100回を超え、2017年5月に47都道府県での受験を達成。取得スコアは15点から990点まで幅広い。著書に『TOEIC(R)テスト 究極の模試600問』(アルク)等がある。 ツイッター @hiromaeda(https://twitter.com/hiromaeda)

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