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私のリーダー論

個性見極め「気にしているよ」 なでしこ監督の指導法 サッカー女子日本代表 高倉麻子監督(上)

2019/2/7

――前大会からメンバーは大きく変わり、今のなでしこは若手からベテランまで幅広い選手がそろいました。意識をそろえるのは大変ではないですか。

「若手は経験値が少ないので、日々失敗したり、うまくいったりの繰り返しです。なので、たとえ失敗したとしてもこちらはあまりネガティブになる必要がありません。『この間はこんなことができていたね』とか、『もっとこういうところができるように』『こんな練習をしたら』などと前向きな話をしています」

一番大事なのは人としての力

「中堅どころは、ある程度の自信や経験はついている。ただ自分自身への見方に誤解というか、ギャップが生じています。できていないのにできていると思ったり、できているのにできていないと思っていたり」

「25、26歳の頃って自分のことをもう大人だと思っていて、選手としてもっとできると思っていたり、一方でやけに自信が無かったりと、すごくバランスが悪いんです。良いところに関しては良い、ダメなところに関してはダメだというのを、すぐには解決しなくても、粘り強く時間をかけて話していきます」

「ベテランはその状態を抜けて、自分のできること、不得意なことが分かっています。よっぽど変な扱いをしない限りはふてくされたりしません。ただ、今の若い子ってあんまりリーダーになりたがらない。代表のベテランでもそうです。上の世代になってしまったという戸惑いがあるようなので、やる気を促して、ようやく少し自覚が出てきた状況です」

■女性の特性を生かして戦える

――女性ならではの特徴もあるのでしょうか。

「選手なので『私を使え』と思うのは普通ですが、監督に認めてもらえないとか、私よりあの子のほうが好きなのかといったことを思いがちですね。そこに関しては、もう粘り強く信頼関係を築いていくしかありません。良い部分は良い、ダメな部分はダメと時間をかけて話す中で、彼女たちも納得してくれています」

「我が強い選手もいますが、その子がいなければチームが成り立たないこともたくさんありますし、我の強さが必要になる場合もあります。それぞれの個性をしっかり認めた上で、一人一人に対して『気にしているよ』と伝えていきます」

――リーダーとして女性であることは意識しますか。

「男性と同等に戦おうとして、気持ちを張るのも一つの選択ですが、違う良さや特性を生かして戦えるフィールドが絶対あると思うんです。どちらかが優れているとかそういうことではなくて、男性女性、それぞれの特性や良さは違う。そこをうまく生かし合いながら共存していけばいいのでは。一番大事なのは人としての力。人に信頼されるかどうかだと思っています」

「日本だけでなく、世界でも五輪に関わる指導者のうち、女性は全体の数%しかいないそうなんですね。結婚や出産でキャリアを続けるのが難しいのももちろんですが、かつての私がそうだったように、指導者として稼ぐ環境がなくて手を上げにくい、続けにくいというのも女性指導者が少ない理由ではないでしょうか」

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