「目を見て話せ」は大間違い? 仕事が進む実践スキル『チームを動かすファシリテーションのドリル』 山口博氏

「好感度」アップへ反復練習、体で覚える

合意形成はファシリテーションの大きな目的だが、「一般的な手引書が示すような理屈だけ覚えても、相手を動かしにくい。自撮りをすると、自分が相手からどう見えているのか、どう振る舞えば好感を持ってもらえるかが分かるので効果的だ。好印象を与えるしぐさや物言いを身につけるには、反復練習が望ましい」と話す。山口氏が講師を務める研修では、全体の7割以上の時間を「実技」に割くという。「ピアノや習字と同じで、体が覚えてしまえば、とっさに反応できる」(山口氏)

他人との接し方はビジネスの基本動作だが、会社できちんと教えてもらう機会は少ないだろう。一方、産業全体のサービス化は進み、コミュニケーション能力が重視される傾向にある。人付き合いが極端に苦手な人が自嘲的に「コミュ障(コミュニケーション障害)」などと言うこともあるが、山口氏は「コミュニケーション能力は後天的に身につけられる。すべての『付き合い下手』が生まれつきであるはずがない」と強調する。

具体的には、目線や話し方など個別のアクションに分解し、ひとつひとつスキルを高めるよう訓練するのが有効とみられる。山口氏が、日めくりドリル形式の著書『ひとつの質問で合意形成できる!』(扶桑社)に意思疎通や合意形成を助ける120項目のスキルを盛り込んだのも、そんな思いからのようだ。

会議だけじゃもったいない 合意形成術

「若手社員との意思疎通が難しい」と嘆く中堅・幹部社員は少なくない。そんな若手とチームで働くときにも、ファシリテーションのスキルは有効だ。そのカギとなるのが、質問と対話を通じて「相手のモチベーションファクター(=何が動機づけの柱になっているか)を見極める」ことだ。質問を受ける側も「自分の考えを聞いてもらっている、興味を持ってくれている」と感じ、合意を受け入れる気持ちが整っていく。

上からの評価や出世を思い描くベテランの動機と若手社員の動機が同じとは限らない。そこを考えないと、若手社員はチームの目標を「押しつけられた」ように感じ、疎外感を抱くおそれがある。ファシリテーションによって部下のモチベーションを十分に高めてからチームに巻き込むという手順を踏めば、意欲が高まる効果が期待できるという。

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