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国際的ヒット本が教える 「世界はそんなに悪くない」 アンナ・ロスリング・ロンランド氏×堀正岳氏(下)

2019/2/1

アンナ・ロスリング・ロンランド氏

データを見る時の思い込みを乗り越えることができれば、世界に対してより楽観的で、鋭い問題意識を持つことができる。それが、全世界で100万部を越えるベストセラーになり、日本でも発売10日で15万部を超えるヒットとなっているハンス・ロスリング氏の『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』のテーマだ。

本書はハンスの息子であるオーラ・ロスリング氏と、その妻でデザイナーのアンナ・ロスリング・ロンランド氏との共同プロジェクトでもある。この3人のコラボレーションはどのように始まったのか、また『FACTFULNESS』のテーマは日常でどう応用可能なのかについて、前回に引き続きアンナ・ロスリング・ロンランド氏に、研究者であり作家の堀正岳氏が聞いた。(前回の記事は「『FACTFULNESS』著者に聞く 世界を正しく見る習慣」

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■3人のコラボから始まった『FACTFULNESS』

 ハンスは日本でも有名ですが、その講演がアンナさん、オーラさんとの、3人のコラボレーションだったことはあまり知られていないかもしれません。3人のコラボレーションがどのように始まったのか伺えますか?

アンナ・ロスリング・ロンランド氏

アンナ ハンスはずっと学生たちに講義をしていましたが、20年ほど前にその資料を作るお手伝いを始めたのがきっかけです。ハンスの話は魅力的でしたし、それを助ける図を作るのは楽しい作業でした。そうするうちに夫のオーラが経済史の学位論文を書くことになり、この小さな趣味を、もっと体系化したソフトウェアにできないかと考えました。そうして生まれたのがTrendalyzer(トレンダライザー)という発明でした。

 ハンスの講演でも有名な、所得と寿命といった軸でデータをアニメーション表示するアプリケーションですね。

アンナ そうです。しかしその後トレンダライザーがグーグルに買収され、私たちもそこにジョインして気づいたのは、どんなにデータの表示を美しくして、使用するユーザーが増えたとしても、新しい発見や理解を深めるためには利用されていないということでした。ユーザーは既に何か仮説を持ってツールを使っていて、どんなにデータとツールがそろっていても、彼らが世界に対して持っている誤解や偏見を変えることはできなかったのです。

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