クルマは芸術 マツダ新アクセラは線でなく面で魅する

小沢 普通に従来通りのプレスラインを入れた造形ならラクなんでしょうけど。

前田 その通り。エッジをピンと張らせておけば、ボディーとドアの接合面のパネル合わせもラクなんです。今回の面デザインだと、どこを基準にどう合わせていいか分からない。

小沢 線ではなく面で見せる。その分やってもやりきれないデザインって感じですよね。コッチを削るとコッチを直したくなるという。

前田 もう終わりなき戦いです。

前田育男(まえだ・いくお) 1959年生まれ。京都工芸繊維大学卒業後、82年に東洋工業(現マツダ)に入社。2009年にデザイン本部長に就任。デザインコンセプト「魂動」を軸に、商品開発、展示会や販売店舗のデザインなど総合的に推進するプロジェクトをけん引。16年より現職

小沢 では担当デザイナーさんにその苦労を。

カー・アズ・アート! 量産車にも美しさを

小沢 今回のマツダ3は17年の東京モーターショーで出した「魁コンセプト」の実車版だと思うんですが、マジで(モーターショーなどに展示される)ショーカー並みにキレイ。ビックリしました。

土田康剛氏(アクセラ チーフデザイナー。以下、土田) 本当はショーカーに比べ幅が狭くなっているので、少し化粧が落ちた感じもあるのですが、既存のハッチバックに比べて十分アピールできているんじゃないかと。

小沢 プロポーションはともかく、面の見せ方が半端ないですよね。まさに革命的ヌメヌメ感! 実用ハッチバックって背が高い割に短く、どうしてもずんぐりむっくりになりがちですが不思議なほど美しい。毎日食べるお米のような存在なのに異様にうまいという。

土田 そこなんです。Cセグメントって基本、大衆車じゃないですか。でも今回マツダは「カー・アズ・アート(CAR as ART)」といって、大衆車であっても彩りや色気を与えていきたいと。

小沢 クルマはアート! なかなか日本人には言えない言葉ですよね。「俺たちのクルマは芸術だ!」って言い切ってるわけで。「俺たちはアーティストだ」って言い切ったアップルのスティーブ・ジョブズ並みです。

土田 そこは前田が引っ張ってくれましたね。それくらいの覚悟を持ってやろうと。

小沢 ただひとつ心配なのは、芸術を目指した分、車内が極端に狭くなってたり、実用性を犠牲にしてるんじゃないかと。

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セダンとハッチで全く違うデザイン
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