料理の腕が確実に上がる 1万円以下の調理道具10選
腕のいい料理人が道具にこだわるのは、道具が味や食感を大きく左右するから。プロも信頼する「調理道具の目利き」、料理道具専門店・飯田屋社長の飯田結太さんに、料理上手になれる新・定番グッズを聞いた。
鉄だけれど錆びにくい「フライパン2.0」
特殊な焼きつけを施して、表面を硬く、錆びにくくした鉄製フライパン。業務用並みに厚く、火の回りが均一なため、肉も魚もムラなく焼け、野菜炒めもシャキシャキに。鉄製に必須の使い始め前の焼き入れや、使用後の油引きは不要。「鉄の長所と手入れの楽さとを併せ持つ『フライパン2.0』と呼ぶべき逸品」。
7層構造で「一晩寝かせた味」を短時間で再現
熱伝導性の高いアルミと保温性の高いステンレスの7層構造。少ない熱量で鍋全体にムラなく熱が伝わり、味が素材に素早く染みる。「一晩寝かせたカレーや煮物の味を、短時間で再現できる実力派」。蓋と本体が密着し、無水調理もお手のもの。「蒸し野菜の旨みも栄養も逃しません」。
日本人の使い勝手を追求した1本
切れ味バツグンで錆びに強いオールステンレス包丁。海外でも人気のラインアップを、日本人向けに軽く扱いやすいよう改良してある。「刃先部分は肉の筋切りや薄切りに、手前側は野菜の小口切りや千切りに向く。1本で大半の料理をこなせます」。15cmの短いタイプは果物や野菜の皮むきなどに。
包丁との相性が抜群、刃を傷めにくい
抗菌作用のあるヒノキの一枚板のまな板。「ヒノキは肌目が柔らかく包丁を傷めにくい上、復元力もありへこみにくい。キャベツの千切りが気持ち良くできます」。回転式のスタンド付きで、立てて収納が可能。木目に沿って水気が落ちるため、乾きが速く黒カビも出にくい。
絶妙な形状の注ぎ口で液垂れなし
注ぎ口が左右にあり、どちらからでも注げる、プロダクトデザイナー柳宗理考案のミルクパン。注ぎ口の角度が深く、注ぐとき液垂れしない。蓋をのせるとミルクが早く沸き、ずらせば沸騰しても吹きこぼれない。蓋をしたままゆでこぼせるため、少量の野菜をさっとゆでるときも重宝。
熱伝導が良く、ふっくら仕上がる
銅の卵焼き器は、緑青(ろくしょう)(銅の酸化で起きる錆で人体にはほぼ無害)の発生を防止するため、表面を錫(すず)で覆ったものが一般的だが、錫は熱伝導性を弱めてしまう。この卵焼き器は銅の熱伝導率の高さを生かすため、錫で皮膜しない純銅製。「器全体に均一に火が回るため、卵液にムラなく熱が伝わり、端までふっくらと仕上がります」。
繊維を潰さず、フワフワの大根おろしに
おろし金の表面は、職人が1つ1つ"目立て"した刃が双方向に立っているため、1往復で2回すれ、手早くおろせる。底の滑り止めとハンドル付きで力も入れやすい。「鋭い刃が大根の繊維を断ち切ってくれるから、食感がフワフワで口溶けも滑らか。熱いご飯にかけ、醤油を垂らしてかき込むのが最高です」。
実は、生姜おろしに最適
アメリカ製のチーズおろし器だが「実は生姜(しょうが)おろしにも最適」。突起状の目ですり潰す一般的な生姜おろしだと、ヒゲ状の生姜の繊維が残り、雑味のもとに。このおろし器は、台形状の鋭い刃が太く長い繊維を断ち切り、細かくすれる。「生姜は細かくするほど香りが立つ。豊かな香りと喉越しを楽しんで」。
突起でプレスし、しっかり搾り切る
ニンニクをセットし、握るだけで、いくつもの突起がニンニクを穴からしっかり搾り出す。皮つきのままプレスできるため、どんどん潰せて、匂いが指につかないのも◎。使用後は付属のブラシで残りカスをかき出し、洗い流すだけ。「ニンニクLOVEの僕が見つけた、究極のニンニク搾り器です」。
底面の刃で、硬いものもラクラク粉状に
通常のミルは、らせん状の刃で食材を砕くか、すり潰すかして細かくするが、このミルは底面の鋭利な刃が食材を切り刻む。「硬いシナモンスティックやナツメグなども、軽く回すだけで香り高いパウダー状に粉砕できる。コショウ、岩塩、スパイス、ナッツなど、幅広い食材に対応する万能ミルです」。
この人に聞きました
飯田屋 社長。料理道具専門店・飯田屋の6代目。自身が仕入れる商品はすべて使い勝手を試し、特徴をつかんだ上でお客に提案。「道具で味は一変する」ことを伝えるべく、8400点余りの商品がひしめく店で日々、接客に当たる。料理道具全般に精通するが、特に思い入れが強いのは「おろし金」。
(ライター 籏智優子、写真 中本浩平)
[日経ウーマン 2018年12月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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