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男女平等度で世界110位、スピード欠く日本 ダイバーシティ進化論(村上由美子)

2019/1/19

写真はイメージ=PIXTA

世界経済フォーラムは2018年12月、世界各国の男女平等の度合いを示す18年版の「ジェンダー・ギャップ指数」を発表した。日本は149カ国中110位と17年から4位上昇。だが、第2次安倍内閣が発足した12年は101位で、世界比較という観点では状況は悪化している。この数年、女性の活躍を推進する掛け声は高まったが、なぜ成果が乏しいのだろう。

要因の一つはスピードの欠如だ。海外では、即効力と強制力を伴う形で男女の平等を義務化する国が増加。欧州より遅れの目立った米国でさえ動きがある。カリフォルニア州は19年末までに同州に本社を置く米国で上場している企業に、取締役の少なくとも1人を女性にするよう義務づけ、違反企業に罰金を科す。

日本でも18年に東京証券取引所の企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)が改訂され、政治分野における男女共同参画推進法も成立。これらは女性比率の改善を推奨するが、いずれも強制力は伴わない。諸外国に比べ日本の改革は随分のんびりだ。

より本質的な課題は、ジェンダーを巡る議論が女性問題の域を出ていないことだろう。女性の就業率は確かに改善した。だが男女の所得格差は解消されず、女性の管理職も取締役も微増にとどまる。女性を単なる労働力としてではなく「人財」と位置付ければ、成果は大きく変わるはずだ。

ジェンダー均衡を経済戦略の柱とし、女性の活躍を経済合理性に基づいて推進するには、働き方改革の実施が重要だ。残業時間削減など表面的な対応ではなく、生産性を高める本質的な構造改革と意識改革が不可欠だ。年功序列より成果主義的な報酬制度、「同一労働同一賃金」の導入、柔軟性の高い雇用環境など日本企業の人事制度を根本から揺るがす、痛みを伴う改革が不可避であろう。

改革に成功すれば、女性に限らず社員全体の活性化と企業価値向上につながるはずだ。男女格差解消は社会全体が恩恵にあずかるとの認識が諸外国で性別均衡義務化が進む背景にある。

日本は今年20カ国・地域(G20)首脳会議の議長国を務める。G20関連会議として3月にはW20という女性会議が東京で開かれる。世界では、ジェンダー均衡は社会課題としてメインストリーム化。果たして、それは女性問題を超えた経済の優先課題であると日本から発信できるであろうか。

村上由美子
経済協力開発機構(OECD)東京センター所長。上智大学外国語学部卒、米スタンフォード大学修士課程修了、米ハーバード大経営学修士課程修了。国際連合、ゴールドマン・サックス証券などを経て2013年9月から現職。米国人の夫と3人の子どもの5人家族。著書に『武器としての人口減社会』がある。

[日本経済新聞朝刊2018年12月3日付]

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