アラフィフの本当の恋愛って
脚本家、大石静さん
「ヒモ男」と付き合っている知り合いの話を夫とした時のことです。私が「自分が損をする恋愛なんてしない。相手が損をしても自分は得したい」と話すと、「あんたは本当の恋愛をしたことがない」と夫に笑われました。アラフィフにおける本当の恋愛とはなんでしょうか?(岡山県・女性・40代)
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アラフィフでもアラフォーでもアラサーでも、もっと若くても、もっと年配でも、「恋愛」の本質は変わらないと思います。
「恋愛」とは、相手を大切に思い、一緒にいたいと望み、相手の心と体に深く関わりを持ちたいと願うことです。
さらに自分が理想とする相手と、必ずしも恋に落ちるとは限りません。いけないと思っても、惹(ひ)かれてしまう時もあるわけです。
理想とはほど遠いけれど「恋しい」という感情や、「いけない、踏みとどまらなければ」と思いながらも、相手にのめり込んでいく瞬間の刹那は、人の心に劇的高揚を呼び起こします。
つまり、損得で割り切れる感情ではないわけです。
損得を超えた感情を抱けるかどうかが「恋愛」となり得るかどうかのポイントでもあると、私は思います。
あなたが、「自分が損をする恋愛なんてしない。相手が損をしても自分は得したい」とお考えになるのはご自由ですが、私もあなたの旦那様の「あんたは本当の恋愛をしたことがない」と言うご意見に同意します。
しかし(ここから先が大事なんですが)、旦那様は、恋愛の経験もない、恋愛の定義もわかっていない、40代なのに何だか初心(うぶ)で未熟なあなただからこそ、大切に思っておられるのではないかと想像します。
旦那様はあなたに「得」していると思える状況を与えてくれているのでしょうし、お知り合いの婚外の男性関係も、のびのびと話し合えたりできるということは、ご夫婦としてお幸せに思えます。
そのまま、どうぞお幸せにお暮らしください。
最後にお知り合いですが、結婚しているのなら、その方は夫との安定的生活だけでは心が満たされず、「ヒモ男」と肉体関係を持つことで、心のバランスを保っているのだと思います。
「ヒモ男」は経済的損失を与えますが、だからこそ心身の高揚も与えてくれるのでしょう。
ご質問に、私なりにお答えしてみましたが、しかし、あなたはそんなことを理解しないでもいいように思います。
今のまま、旦那様だけ見つめて生きてください。それが一番だと思います。
[NIKKEIプラス1 2019年1月12日付]
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