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新幹線どこまで速くなる?走行実験で時速400キロ目標

2019/1/13

次世代新幹線「アルファエックス」のイメージ図
イチ子お姉さん JR東日本が次世代新幹線「アルファエックス」を公開したわ。東京―札幌の所要時間が今よりも大幅(はば)に短縮されるのよ。
からすけ 新幹線は開業当時(1964年)よりもずっと速くなったって、お父さんが言っていたよ。どうやって改良していったんだろう。

■走行実験で時速400キロ目標

イチ子 JR東日本が開発中の次世代新幹線「アルファエックス」は最高時速360キロを目指しているわ。これまでの最高時速は東北新幹線「はやぶさ」などの320キロなので40キロも速くなることになるわね。30年度に東京―札幌間で開業する予定で、今のところ約8時間かかる所要時間が5時間くらいに短縮されるといわれているわ。

国内初の新幹線は1964年の東海道新幹線「ひかり」なんだけど、最高時速は210キロ。それから車体の軽量(りょう)化や高速モーターの開発などでスピードアップをしてきたの。87年に赤字続きだった国鉄(キーワード)が民営化してJR7社が誕生して、積極(きょく)的に投資ができたのも大きかったわね。

「アルファエックス」の最高時速360キロというのは「営業速度」のことよ。お客を乗せた状態での速度なんだけど、走行実験では400キロを目標(ひょう)にしているわ。

<キーワード>
国鉄 日本国有鉄道の略(りゃく)称。1949年に運輸省から国有鉄道事業が分離(り)し、公共企業体として発足した。人件費削(さく)減や事業効率化が目的だったが、ローカル線の採算悪化などで赤字が拡大。87年にJR東日本やJR東海など7社に分割・民営化された。
リニア新幹線 JR東海が2027年に品川―名古屋間での開業を目指す中央新幹線。車両と車両側面の壁(かべ)「ガイドウェイ」に磁石とコイルを埋(う)め込み、車両を10センチ浮かせて時速約500キロで走行する。総工費は5兆5235億円、37年開業を目指す名古屋―大阪間を含(ふく)めると約9兆円にのぼる。

からすけ そんなにスピードを出して危なくないのかなぁ。

イチ子 地震(しん)があったら素早く安全に止まれるように設計されているわ。車両の大きな揺(ゆ)れを抑(おさ)える装(そう)置を車体の下の部分に設置しているの。衝撃をやわらげて脱(だつ)線しにくくする効果があるわ。ほかにも振(しん)動や温度センサーを設置して車体の異常を把(は)握できるシステムを搭載しているのよ。

からすけ すごいのはスピードだけじゃないんだ。

イチ子 ほかにもカーブを通過するときに車体をわざと傾(かたむ)けたり、上下の振動を抑えたりする装置を設置して乗り心地にも工夫しているみたいね。スピードを出すとどうしても風切り音や騒(そう)音が出てしまうけど、環(かん)境面にも配慮(りょ)した設計になっているのよ。

からすけ へえ。テレビでリニア新幹線(キーワード)を見たことがあるけれど、何が違(ちが)うの?

イチ子 新幹線は車体の左右に車輪を設置して、線路との摩擦力で走るの。リニア新幹線は、磁石の力で走る「超(ちょう)電導磁気浮(ふ)上方式」を採用しているわ。磁石にはS極とN極があって、反発したり引き合ったりする性質があるのは知っているわね。

リニア新幹線は超電導磁石という、ものすごく強力な磁石を使って、車体を浮かせたり前に進ませたりすることで動力にしているのよ。JR東海は27年にリニア新幹線の運転開始を目指しているけど、最高時速は500キロくらいになるといわれているわ。

■飛行機の客呼び込みに力

からすけ どうして次々とすごい電車を開発するの?

イチ子 新幹線の最大のライバル、飛行機に勝つためよ。鉄道会社は新幹線の移動時間を短縮させて、飛行機を使う客を呼び込もうとしているのよ。東京―札幌間は今の新幹線だと約8時間かかるけど、飛行機だと1時間30分(羽田―新千歳)くらいで行けちゃうの。

からすけ ええ、そんなに違うの?それじゃあ、みんな飛行機を使うよね。

イチ子 実際に今の東京―札幌間は飛行機を使う人がほとんどよ。でも、これまでも、時間短縮をして飛行機の利用者数を上回った例があるわ。東京―金沢間の飛行機の所要時間は1時間(羽田―小松)くらい。新幹線などの所要時間は昔は約5時間だったけど、15年に北陸新幹線が開業して2時間30分くらいに短縮したの。すると航空便と鉄道のシェア比はだいたい6対4から3対7に逆転したわ。鉄道には飛行機にはない魅(み)力があると考えている人もいるのよ。

からすけ 飛行機も新幹線もどっちもかっこいいけどなぁ。

イチ子 そうね。鉄道の利用客には、駅でお弁当や飲み物を買って車窓からの景色と食事をゆっくり楽しみたいという人が多いみたい。鉄道会社は飲食サービスやシートの座り心地にも力を入れて、新幹線での移動そのものも旅の一つとして楽しめるように工夫しているの。大体の空港は市街地から遠くにあるから、空港までの移動を嫌(きら)う人もいるんじゃないかしら。もちろん、飛行機で素早く移動したいという人もたくさんいるけどね。

からすけ なるほどね。僕は飛行機も新幹線もどっちも好きだから、両方使いたいな。

イチ子 からすけ君みたいな人に「自分のところだけを選んで下さい」って企業の人は頑(がん)張って新しい技術やサービスを考えているのよ。鉄道会社が新車両を発表することで、航空会社も新しいサービスを考案するかもしれないわ。これからもどんどん便利な乗り物が出てくるといいわね。

■時間短縮で食堂車は廃止

豊島岡女子学園中学高等学校の神谷正昌先生の話 1964年に開業した新幹線は、東京オリンピックの開催、高度経済成長を象徴する「夢の超特急」であり、特別な乗り物という感覚がありました。単に速度が速いだけでなく、人の移動に付加価値を生み出しました。
新幹線にはかつて食堂車が存在しました。専用車両で注文し食事をするのはちょっとしたぜいたくでしたが、速度が上がり所要時間が短縮され食堂車は廃(はい)止されました。一方で、短くなった時間分を移動先で過ごすことに当てれば、土地のおいしいものも食べられます。
現在は、新幹線の路線拡張とさらなる速度アップで、通勤・通学にも利用されています。車内でのインターネットの接続などサービスが向上し、日常的なものになっています。次世代新幹線は、より身近なところで利便性が高くなるものとして期待されます。

[日本経済新聞夕刊2019年1月5日付]

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