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池上彰の大岡山通信

若いときならではの挑戦を~成人の日に寄せて 池上彰の大岡山通信 若者たちへ

2019/1/14

今年も成人の日がやってきました。いまは20歳になって成人ですが、2022年度からは18歳で成人です。今年成人式を迎えた君たちに、まもなく大勢の後輩たちが追いついてくるのです。不思議な感覚ですね。

受験で成人式どころではなくなる?

22年度から18歳が成人扱いになると、彼らの成人式は23年1月になります。

この年は、18、19、20歳の3年間の若者たちが一斉に成人式を迎えることになります。成人式の会場はどうなるのだろうと思ってしまいますね。

同じ会場で3回に分けて式を実施するのでしょうか。

とりわけ気になるのは18歳になったばかりの人たち。1月といえば受験シーズンですから。学校側も、さすがに成人の日を試験日にはしないでしょうが、受験で成人式どころではないという人も続出するでしょう。

となると、成人式は日を改めて、というところが増えるでしょう。成人式の意味も変わってくるかもしれません。

「読者には自分が成人になった日のことを思い出す人もいるでしょう」(写真は2018年の成人式。横浜市)

このコラムを読んでくださるのは成人式を迎えた若者たちばかりではありません。それぞれ自分が成人になった日のことを思い出す人もいることでしょう。

私が20歳になって迎えた成人の日は1971年1月のこと。私の仲間で成人式に出席する者は皆無でした。世の中を斜めに見る生意気盛りの若者たちにとって、行政主体の式など出る気になれなかったのです。

成人式には参加しなくても、東京の自宅には区長名でアルバムが届けられました。「こんなことに税金を使って区長の選挙運動かよ」と反発したのですから、素直ではありませんでしたね。

若者に眉をひそめる大人たち

そんな私のような世代から見ると、遊園地での成人式に喜々として参加する若者たちは大丈夫だろうかと思ってしまうのですが、いつの時代も、大人たちは若者たちの振る舞いを見て眉をひそめてきたものです。

今年20歳の成人式を迎える人たちが生まれたのは1998年から99年でしょう。

この頃、街にはガングロと呼ばれた若い女性たちが闊歩(かっぽ)していました。髪の毛を脱色し、日焼けサロンで顔を真っ黒に焼いたり、黒いファンデーションを塗ったりして、わざと顔を黒くしたのですから、大人たちを驚かせました。

いつの時代でも自分たちの存在を主張する奇抜なファッションが流行するもの。それを大人たちが呆(あき)れて見るのです。

私が成人を迎えた頃は男性の長髪が流行していました。「男のくせに髪を長く伸ばすなんて」という顰蹙(ひんしゅく)を買ったものです。当時、長髪だった男性たちは、いまや頭に髪が残っているかどうか怪しいものです。

いけがみ・あきら 東京工業大学特命教授。1950年(昭25年)生まれ。73年にNHKに記者として入局。94年から11年間「週刊こどもニュース」担当。2005年に独立。主な著書に「池上彰のやさしい経済学」(日本経済新聞出版社)、「池上彰の18歳からの教養講座」(同)、「池上彰の世界はどこに向かうのか」(同)、新著「池上彰の未来を拓く君たちへ」。長野県出身。68歳。

当時のガングロの女性たちも、いまや40歳前後でしょうか。どんな大人になっているのか。自分の若い頃をどう思い出しているのか。

この年は、「1999年7月に世界は滅亡する」という「ノストラダムスの大予言」の該当の年でした。この予言に脅(おび)えた子どもたちもいたものですが、世界は終わりませんでした。

世界は簡単には終わらないのです。

21世紀が始まるのは正確には2001年からなのですが、1999年は「世紀末」だと意識した人も多く、「世紀末ブーム」が起きました。

こんな回想をしながら私が成人式を迎える人たちに言いたいこと。それは、若いときにしかできないことに挑戦してほしいということです。チコちゃんに「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と言われないような人生を歩んでみてください。

[日経電子版2019年1月14日付]

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