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エジプト4400年前の墓、手つかずで発見 装飾鮮やか

日経ナショナル ジオグラフィック社

2019/1/5

ナショナルジオグラフィック日本版

墓のくぼみに彫られた神官ワフティーと家族の像(PHOTOGRAPH BY AMR NABIL, AP)

古代エジプト王ファラオに仕えたワフティーという神官が埋葬された墓が発見された。場所は首都カイロの南にあるサッカラ遺跡。現在は砂漠となっている広大な王家の墓地で、地下5メートルほどの砂の下から見つかった。墓には色鮮やかな装飾が施され、荒らされた様子がない。

「この墓は、まるで作られてから数十年しか経っていないかのようです」とエジプト考古最高評議会の事務局長モスタファ・ワジリ氏は、2018年12月15日の記者会見で述べた。「およそ4400年前の墓ですが、当時の鮮やかな色彩がほぼそのまま残っています」

ワフティーは、エジプト第5王朝のファラオ、ネフェリルカラーに仕えていた神官だ。墓の扉の上の石に刻まれた象形文字ヒエログリフを解読したところ、故人の名前に加えて、役職も明らかになった。

見事な装飾が施された神官の墓。現場監督のムスタファ・アブド氏を含む、エジプトのチームが発掘した(PHOTOGRAPH BY AMR NABIL, AP)

「ここは岩をくりぬいた墓兼礼拝所です」とブリストル大学のエジプト学者エイダン・ドドソン氏はメールで説明する。ドドソン氏は今回のプロジェクトには参加していない。「これまで明らかになったのは『公的』な部分です。家族や友人、司祭が来て供物を捧げる場所です」

発見された墓の通路は長方形で、大きさは南北10メートル、東西3メートル、高さ3メートル。彫刻や碑文が一面に刻まれ、彩色が施されている。数千年も前のものなのに、保存状態はきわめて良好だ。

彫刻には、ワフティー自身や妻のウェレト・プタハ、母親のメリト・ミーンをはじめ、狩猟や航海、供物を捧げたり、陶器や葬具などを作ったりする様子など、日常の光景が描かれている。彩色された大きな彫像はワフティーと家族で、壁にある18カ所のくぼみに収まっている。一方、床付近にある26カ所の小さなくぼみには、立ち姿か足を組んで座っている像が収まっているが、まだ人物は特定されていない。

エジプト考古学者の発掘チームは、この墓で通路を5本発見した。1本は開かれ、中には何も残されていなかったが、その他は封印されたままで、大発見が待っている可能性もある。報道によると、封印されている通路はすぐにでも発掘が開始されるという。

「通路の先には、ワフティーの棺があるはずです」とワジリ氏は希望を込めて話す。その他の通路には、副葬品が収められている可能性がある。この墓の発掘はまだ途中であり、19年1月に再開されると、また数多くの発見がありそうだ。

(文 A. R. WILLIAMS、訳 牧野建志、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2018年12月17日付]

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