年収1800万円以上の特徴は? 成功する人は勉強していた
生涯キャリアの選択肢(10)
前回まで、就活について話してきた。私が長年やってきたのは「サラリーマンの生涯キャリア分析」だ。これまであらゆる年代の2000人以上のサラリーマン(男女を問わず)の生きざまを見てきた。入社前から定年後までカバーしてきた。そして、就活で一番大事なのは、生涯キャリアを視野に入れて今の選択を考えることだ。そこで、今回からはサラリーマンのキャリアを一緒に見ていきたいと思う。
サラリーマンの生涯キャリアを分析
何を持ってキャリアや仕事の成功というかは難しい問題で、多くの見方がある。ここでは、1つの指標である収入を基準にして、成功の法則を考えてみる。
以前、40歳以上で年収1800万円以上の人と600万円台の人それぞれ500人ずつ、合計1000人を対象に、彼らのこれまでの勉強法、生活、思考パターンなどについて調査した。今でこそ両者の年収には3倍もの開きがあるが、サラリーマンで社会人になったばかりの20代初めの頃は、年収にさほど違いはなかったはずだ。もともとは同じスタートラインにあったのに、20年後、これほどの差が出てしまうのはなぜなのか。
勉強・自己投資がカギ
アンケート結果からまず言えるのは、「稼ぐ人」は、「稼げない人」に比べて、圧倒的に勉強量が多いことである。たとえば、読書量で言えば、「稼ぐ人」と「稼げない人」では若いときでも、40代になった現在でも、2倍の差がある。勉強時間については、「稼ぐ人」のほうが、「稼がない人」よりも、若いときで1日29分、40代の現在で27分多い。
これらの勉強が収入につながったかどうかについて、「稼ぐ人」の66%が「勉強が収入増につながった」と答えている。若いときからの勉強量の違いが、収入の差につながっている。
同じく、「稼ぐ人」と「稼げない人」の顕著な違いは、自己投資である。若いころ、自分を磨くためにどれだけ自己投資をしたか(書籍の購入、セミナーに行く、資格をとるなど)を聞いたら、「稼ぐ人」は年に20.3万円、「稼がない人」は約10.2万円と、ほぼ倍の違いがあった。
学生時代に勉強スタイルを身につけよう
しかも、40代以降の現在の投資額について、「稼ぐ人」は20.5万円に増えているのに対し、「稼げない人」は8.2万円に減少している。年収にも開きがあるし40代以上は住宅ローンや子どもの教育費など出費がかさむ時期で、「稼げない人」はより自己投資の余裕がなくなると考えられる。こうなると、勉強量の差は広がるばかりだ。
ここからいえるのは、将来でなく、今の学生時代に勉強のスタイルを身につけることがどれだけ大切かだ。ジャンルは問わない。好きなものを、たとえ趣味でもいいので、やり続けることだ。スタイルさえ作れば、そのうち、ほかの分野にも広がってくる。勉強や自己投資しないで、出世などのリターンだけ得ようとしても、人生それはかなわない。
一橋大学社会学部卒業後、東京ガス入社。ロンドン大学大学院留学、ハーバード大学大学院修士課程修了。中東経済研究所研究員。アーバンクラブ設立、取締役。法政大学大学院博士後期課程修了、経営学博士。東京女学館大学国際教養学部教授(キャリア開発委員長)、一橋大学特任教授などを経て2015年より三菱商事社外取締役。18年から立命館大学共通教育推進機構教授。人材育成、企業経営、キャリアデザインを中心に研究し、実践的人材開発の理論を構築。研修・講演は通算1000回を超える。ビジネスリーダーの生涯キャリア研究がライフテーマ。著書は計61冊。就活関係では「受かる!西山式内定バイブル」(小学館)がある。
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。