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文部科学省汚職で注目! 医学部人気と浪人・留年累々の医師すごろく

キレイゴトぬきの大学論(1)

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大学ジャーナリストの石渡です。2017年3月から日経カレッジカフェで「ホンネの就活ツッコミ論」の連載を開始しました。この7月から、大学関連のコラムである当連載と「ホンネの就活ツッコミ論」を随時掲載していきますのでよろしくお願いします。

◇ ◇ ◇

さて、1回目の今回は医学部。2018年7月、文部科学省の佐野太局長が受託収賄の疑いで逮捕されました。文部科学省の補助金事業(私立大学支援事業)の対象校に選定されることへの見返りとして、自分の子供を東京医科大学の入学試験で不正に合格させた、いわゆる裏口入学です。しかも大学側は理事長、学長のほか、複数の職員が関与しており、理事長・学長はその後、辞任。在宅起訴されました。

大学経営幹部が関与する裏口入学事件は2001年の帝京大学、2004年の神奈川歯科大学以来、発生していませんでした。裏口入学と言えば、あまりにも古いイメージがあるところ、平成ももう終わろうか、というときに発生したのです。しかも、裏口入学の取引材料に文部科学省の補助金事業が使われる、というのは前代未聞のことです。

では、背景に何があったのでしょうか。そこには、高人気化とハードルの高い医師への道のりがありました。

夢・高校の都合に順天堂ショックで人気化

日本FP協会が2007年から実施している小学生の「将来なりたい職業」ランキングによると、医師は2007年で4位。以降、ベスト10から落ちることはなく、2012年からは男女ともベスト3入りしています。2017年は男子・女子とも3位でした。ソニー生命保険「中高生が思い描く将来についての意識調査2017」でも、中学生のなりたい職業では医師が男子9位、女子3位に入っています(高校生のなりたい職業ではベスト10入りせず)。医師という職業はわかりやすいこともあり、漫画・テレビドラマなどでもよく題材として扱われます。しかも、ハイリターン。そのため、小中学生が将来の職業と元々考えやすい職種ではありました。

加えて、2000年代から小中高でそれぞれ展開されるようになったキャリア教育の影響もあります。職業観を持とう、というキャリア教育自体は問題ありません。が、2000年代に始まった当初、強調されていたのが「夢」です。つまり、「夢を持とう、夢にあった進路選択をしよう」というものです。それが全て悪いわけではないのですが、一方で分かりやすい職業を進路とする中高生も増えました。この影響で医師はさらに高人気化していきます。

もう一点、高校の都合、という点も見過ごせません。高校は私立・公立とも進学実績を問われるように変化していきます。特に地方の公立高校は成績上位者には医学部進学を勧めるようになりました。これも医学部が人気化した一因です。それでも医学部、特に私立大学医学部は高い学費が必要です。そのため、そこまで人気とはなりませんでした。

ところが2008年、順天堂大学が学費値下げ(6年間で約900万円)を発表します。これにより順天堂大学は人気化します。この学費値下げは受験業界で「順天堂ショック」と言われ、その後、多くの私立大学も学費値下げに踏み切ります。

そのため、開業医の子弟でなくても、無理をすれば払えなくはない学費となり、これも人気化の一因となったのです。

受験も浪人当然、入学後は留年当然

これだけ人気化した医学部は、国公立大学だけでなく私立大学も偏差値が上昇しました。その結果、現役合格が当然視される大学受験において、いまだに浪人文化が残っています。「医者・医学部がわかる2018」(朝日新聞出版)によると、データを開示している私立大医学部のうち、現役比率がもっとも低いのは杏林大学の6.0%。もっとも高い慶應義塾大学でも67.0%です。なお、データ公表の私立27校中、現役比率が浪人を上回ったのは慶應義塾大学だけ。他の26校は全て浪人比率が現役を上回っています。一浪どころか二浪、三浪も珍しくない世界です。

では、大学受験で苦労をして医学部に入学すれば安泰か、と言えばそんなことはありません。まず、他の文系・理系学部と異なり、医学部は6年制です。しかも、6年間、ずっと勉強を続けて卒業すれば医師になれるわけではないのです。得られるのは医師国家試験の受験資格のみ。

さらに2010年、アメリカの「外国医学部卒業生のための教育委員会」(ECFMG)が国際的な認証評価を受けていない海外大学の卒業生に医師免許を取得させない、との通告を出しました(2023年以降)。国際的な認証評価を得るためには、臨床実習を72週以上、実施する必要があります。そこで日本の医学部は臨床実習を72週以上、実施するよう、カリキュラムを改訂していきました。

このカリキュラム改訂の影響で教養科目などは減少。その結果、学生の負担が増えていきました。当然ながら留年者も増えていきます。さらに、合格率と補助金という医学部側の事情も留年者を増やし、医師スゴロクは険しさを増しています。

現在、私立大学医学部は医師国家試験の合格率が低すぎる場合、国から支給される補助金が減らされます。合格率を上げるためには教育の質を上げるべきなのですが、ここで一部の私大では数字のマジックを使います。マジックと言っても難しい話ではありません。5年生以前の単位認定を厳しくして留年者を増やす、あるいは、卒業試験の認定を厳しくすることで、そもそも国家試験を受験できなくさせるのです。

合格しそうにない学生が留年することで国家試験の受験者数が減ればその分だけ、見た目の合格率は上がっていきます。現役の医学部生に話を聞くと、「3年生のあたりから国家試験対策の予備校に通う同級生が一気に増える」とのこと。そこまでやっても、例年、10%前後は留年となり、さらに国家試験でも10%前後が不合格となります。

医師という職業は魅力もやりがいもありますし、年収も高いことは確かです。しかし、そこに至るまでには大学受験だけでなく学生生活もそれぞれハードルが高いことは覚悟すべきでしょう。

石渡嶺司(いしわたり・れいじ) 1975年札幌市生まれ。東洋大学社会学部卒。2003年から大学ジャーナリストとして活動開始。当初は大学・教育関連の書籍・記事だけだったが、出入りしていた週刊誌編集部から「就活もやれ」と言われて、それが10年以上続くのだから人生わからない。著書に『キレイゴトぬきの就活論』(新潮新書)、『女子学生はなぜ就活で騙されるのか』(朝日新書)など多数。

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