本選考並みの選考プロセスも
就活教室 インターンシップ(2)
前回はインターンシップ参加によって得られることやプログラムの選び方について説明しました。今回はインターンシップに参加するために通らなければならない選考についてです。どんな選考があるのでしょうか。
3社中2社は選考がある
インターシップに参加しようと決めて、どの企業のインターンシップにでも参加できるわけではありません。インターンシップに参加するには、選考を受けて通過しなければ参加できない企業が多いのです。
日経HRが実施した調査結果を見ると、インターンシップ参加に際して選考があった企業数は323件中229件、選考がなかったのは94件(先着順3、学校推薦5、抽選1含む)と、3社に2社は選考がありました。選考がなかった94件のうち56件がワンデイ(半日6件含む)で6割を超えています。5日間以上のプログラムでも選考がないのは20件ほどで、銀行や保険に多く見られました。反対にワンデイ(125件)でも選考があるのは69件と半数超。このようにワンデイでも選考はありますので、インターンシップに参加しようと思ったら、選考対策が必要になってきます。
では、どのような選考試験対策が必要になるのでしょうか。選考のある企業のうちエントリーシート(ES)による選考があるのは195件、面接84件、筆記試験50件、グループディスカッション(GD)・グループワーク(GW)31件となっています。採用選考の定番の流れである「ES、筆記、面接」(15件)、「ES、筆記、GD、面接」(5件)といった企業もあります。インターンシップに行くなら、最低でもエントリーシートの準備は必要ですし、面接の練習もしておいたほうがいいでしょう。
ES・面接に備えて「強み」と「参加理由」を
エントリーシート、面接に向けてどんな準備が必要かを説明します。エントリーシートでも、面接でも大きな違いはありません。基本的には「強みは何か」「参加したい理由は何か」を準備しておくことです。企業側が「強みは何か」を聞く際には「自己PR」や「学生生活で力を入れたこと(ガクチカ)」「研究について」などの質問をしますが、求めているのは強み、つまりどんな能力があるのか、ということです。
この質問に対する回答は「私の強みは○○です」だけではダメ。その強みを証明するための過去のエピソードが求められます。「△△の活動を通して○○の力を身につけました」とか「幼い頃から続けた□□の活動で培った○○の力を大学の△△活動で発揮しました」といった具体的なエピソードが必要になります。「強みがある!」と言っても、それを証明する経験がなければ信じられませんからね。
もう1つ「参加したい理由は何か」は、いわゆる「志望理由」になります。これは「インターンシップに参加したい理由」「この業界を選んだ理由」「企業を選んだ理由」などになります。志望理由は本選考のときには、企業を志望する理由が多くなりますが、インターンシップの選考では「なぜインターンシップに参加したいのか?」「なぜこの業界なのか」といった質問が多いでしょう。
これに対する回答は前回紹介した「インターンシップの参加目的」にあった「仕事理解」「業種理解」「事業内容理解」「企業・職場の雰囲気を知る」などを中心に、なぜそう思ったのかを伝えられるといいでしょう。もちろん、「就職先として志望しているから」という理由でも問題はありません。
ただし「スキルの見極め」「他大生との人脈構築」などの理由は、学生個人の都合であるために、選考を受けている企業のインターンシップである理由としては弱くなります。あくまでも企業を理解し、就職活動が本格化した際にはその企業の選考を受ける可能性があるということが伝わる内容のほうがいいでしょう。
筆記試験はWEBテストが多い
50件ほどあった筆記試験ですが、WEBテストが4割を超えています。自宅で回答するWEBテストは替え玉受検などが可能なために信頼性が低いという理由で、本選考では会場で受検するテストセンターと併用されることがあります。ただ、インターンではそれほど重視されているわけではないようで、WEBテストのみを課す企業がほとんどでした。
本選考ではエントリーシート提出時に受験することも多いので、早めに経験しておくといいでしょう。筆記試験は練習しただけ点数は上がりますので、できないと感じた人は問題集等で対策をしてください。
インターンシップの選考では、エントリーシート、筆記試験、面接、グループディスカッションなど、本番と同じ選考を体験できます。インターンシップに参加することも大事ですが、本選考に向けて企業の選考を受けてみることも良い経験になります。
次回はインターンシップに参加するにはどんな準備が必要なのかを説明します。
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