若杉敏也

若杉敏也
2018/10/3

6月時点で、すでに就活学生の88%が内定確保

2018年6月に就活を終えている学生の割合(6月18日時点)

企業側も切羽詰まっている。大手メーカーの採用担当者は「我々も推薦状自体に固執しているわけではない。後付け推薦を出さない、というなら、内定、あるいは正式では内が内々定辞退を起こさせない他の有効な手段で対応するしかない」と言う。いわゆる「オヤカク」(保護者から内定を辞退しない確約を取り付ける)や、バブルの頃に多用されたような面接当日の「身柄拘束」など過激な対応に走る企業が増えるかもしれない。

採用できる見込みの学生に逃げられるリスクは、人事にとって最大の悩みの一つ。特に理系を中心に優秀な学生の引き留め工作は激しくなる一方だ。就職支援のワークス・ジャパンが2018年6月に首都圏・関西の就活中の大学生743人を対象に実施した調査を見てみよう。対象学生は関東ならMARCHクラス以上、関西なら関関同立クラス以上。学生が就活で優位に動ける大学群だ。

採用活動が解禁された直後の2018年6月18時点では、既に88%の学生が内々定を獲得している。また、複数社から内定を得ている学生も多い。早稲田・慶応義塾両大学では65%、MARCHクラスで59%となった。一方、同じ時点で就職活動を終えている学生は全体の69%を占める。企業目線では「とにかく早めに動かなければ学生確保はおぼつかない」となる。自社に残ってもらうため、なりふりは構っていられないというのが企業側のホンネだろう。加えて、このほど経団連の中西宏明会長が「経団連が採用の日程に関して采配すること自体に極めて違和感がある」などど話したことから、スケジュールを決めた就活ルールを見直す機運も出てきた。2021年以降は「採用ルール廃止も」という議論に発展しており、今後はますます企業にとって内定確保競争が激化する可能性もある。

大学ごとに「推薦枠」を設定?

 「弊社は貴大学に対して学校推薦枠を設けます」――。首都圏にある私立のX大学は、大手金融機関から今年こんな申し入れを受けた。金融機関の担当者は、X大学の学校推薦枠を5人設定すると持ちかけてきた。推薦の条件は「金融を志望する学生で、かつ能力に優れている学生を推薦する」ということ。大学側は当初、学校推薦も悪い話ではないと考えた。しかし「詳しく聞いてみると、大学推薦があってもさらに人事が面接する。5人全員を採用する保証はできないという。結局、断りました」(X大学のキャリア支援担当課長)。

企業にとって、新卒採用にまつわる業務は増える一方だ。特に、インターンシップが普及してからは一年を通して多忙が続くようになってしまった。「企業は新卒採用に絡んでいろいろな手間がかかる。それなら、就活の試験と面接のプロセスを大学に丸投げしてしようというのでしょうね」とX大学の課長は苦笑する。

経団連の中西宏明会長の発言をきっかけに就活スケジュールは見直しが検討されている。ただ、売り手市場は当面続きそうで、企業の人事担当者が学生確保に頭を悩ます状況に変わりはなさそうだ。

学生参加型コミュニティ 登録受付中
メールマガジン登録
大学の約束