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「後付け推薦」に学生困惑 人事との攻防 来年も続く? 就活リポート2019(13)

若杉敏也

2018/10/3

10月1日、多くの企業で内定式が開かれ、2019年卒の就活は名実ともにほぼ終了となった。大学関係者は、今季の就活を「売り手市場が続くなか企業のなりふりかまわない人材確保策が目についた」と振り返る。その一つが「後付け推薦」だ。内定辞退の阻止や早い段階での学生確保が目的だ。今後の就活の主役は現大学3年生に移るが、就活ルールの見直し機運が盛り上がりつつあるなか、人事担当者と大学や学生とのせめぎ合いはますます激しくなりそうだ。

後付け推薦、止めさせられないか

19年卒の就活では、最終面接が終わってから学生に「推薦状」の提出を求めるケースが頻発した。関係者の間で「後付け推薦」と呼ばれている手法だ。大学のキャリアサポート担当者からは「制度の趣旨に反する」と反発する声も強い。

学生でごった返すインターンシップの説明会(2018年7月、都内の展示場で)

「表面上は自由応募といいながら、選考のプロセスが始まってから教授の推薦状を求めてくる“後付け推薦“というのがある。なんとか止めさせられないだろうか」。2018年8月下旬。都内で開いた「国立大学キャリア支援担当者情報交換会」でこんな指摘が相次いだ。就職支援に窓口を担当する教員らが年に1回開く総会で全国約60の国立大学が参加した。

学校推薦は、本来、応募時点で提出するべき性質のものだ。ところが、問題となった後付け推薦では、正式ではない「内々定」を出すタイミングになってから企業が学校推薦を要求する。もともと、推薦応募は理工系の大学生・大学院生の採用で広く利用されてきた。大学と企業の信頼関係があるので、大学から推薦される学生は、ほぼ100%が内定をもらえる。その代わり、推薦された学生が内定を辞退するケースは希だった。学校と企業との信頼を損なうことにもなるからだ。

一方、問題化している「後付け推薦」は、元来の制度の趣旨を逸脱している。広島大学グローバルキャリアデザインセンター長の江坂宗春教授は実情を次のように説明する。「就職活動の指針をきちんと守らない企業の中には、いわゆる正式ではない内々定の直前になって『内々定をあげるから、大学・教授からの推薦状をもらって来い』と学生に課すことがあります。この後付け推薦は、学生の内々定辞退を防ぐ目的が主です」。

「採用選考に関する指針」の日程を守っている企業を第一志望としている学生の場合、この後付け推薦に戸惑い、大いに悩むことになる。後付け推薦をもらえば、内々定の辞退が難しくなる。あとから第一志望の企業に内々定をもらったとしても無意味になってしまう。一方で、学校推薦をもらえなければ、内々定が出ない。まさに学生にとっては、“踏み絵”となってしまうのだ。

江坂教授は「企業にとって学生の内々定辞退が大変な打撃になることも理解できますが......」と前置きしつつ、「就活学生一人当たりの内々定数は平均2.5社。『採用選考に関する指針』でも、『学生の自由な就職活動を妨げる行為(正式内定日前の誓約書要求など)は一切しない』となっている。後付け推薦は、学生の自由な就職活動を妨げる行為に当たるものと思われ、厳に慎むべきものかと思います」と指摘した。

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