就活生座談会(上) 内定キープし「納得できるまで就活続ける」
6月1日の迎え方(就活リポート2019)
過去最高の就職率を記録した昨年同様、「売り手市場」が続く新卒の就職活動。経団連が会員企業に示した選考活動(面接)開始時期である6月1日直前の5月下旬、就活生5人に活動の進捗や内定獲得の状況、6月以降の予定などを座談会形式で語ってもらいました。2回に分けて紹介します。
Aさん(女性、私立大学、文系)
Bさん(女性、私立大学、文系)
Cさん(女性、私立大学、文系)
Dさん(男性、公立大学大学院、文系)
Eさん(男性、私立大学、文系)
5人中4人が内定保持
――現在の就活状況について教えてください。
Aさん旅行と銀行の内々定(内定)を2社持っており、これから面接が4社あります。今の時期は面接を受ける企業のことを調べたりする程度で、そこまで忙しくありません。銀行は6月1日に書類を受け取りに行くことで、正式内定をいただきます。1日はほかにメガバンクの面接が控えています。志望度でいうと内定先やメガバンクはそこまで高いわけではなく、第1志望は春にインターンシップに参加した損保で、6月から面接が始まります。
Bさん 私も2社から内定をいただいています。自動車と専門店です。志望度が高い企業が3社あり、内定先の自動車はそのうちの1社。ほかに航空2社です。志望先から内定をいただいたので、専門店と選考中の企業はほとんど辞退しました。6月1日は自動車の意思確認面談があり、2日と3日に航空会社の面接があります。これから受ける企業はそこだけです。
CさんIT業界を志望しており、面接を予定しているのは6社ぐらいです。内定はIT企業1社からいただきました。内定先は業界研究の一環で受けた企業だったので、そこまで志望度は高くなかったのですが、選考を受けるうちに志望度が上がってきました。今は入社してもいいかなという気持ちです。6月の予定はまだ決まっていませんが、自分に合っていそうな企業だけを受けていきたいと考えています。
Dさん 選考を控えているのは金融機関10社ぐらい。金融機関2社から内定をいただいており、いずれも6月1日に承諾面談があります。1日はほかに銀行3行の面接も入っています。今の時期は内定先や銀行のリクルーターと会ったりして、選考に備えている状態。ただ、第1志望だった金融系のIT企業に書類選考で落ちてしまい、「さあ、どこに行こうか」と考え中です。これから数社受けて、内定が出揃ったところで最終的に決めたいです。
Eさん 面接ラッシュの状況です。平均すると1日2社くらいは面接を受けています。内定はまだありません。もともとは素材メーカーを志望していたのですが、選考がなかなか通過しなかったこともあり、志望を専門商社にシフトして説明会に参加したり、1次選考を受けたりしています。
3日に1回は「回答がほしい」と電話が
――内定を持っている学生も多いですね。内定先からの"拘束"はありますか?
Dさん拘束らしい拘束はないのですが、「食事に行こう」という誘いがよくあります。
Aさん 2月末に旅行会社から内定をいただいた際、人事担当者からは「4月末までに結論を出してください」と言われました。しかし、志望度が高い企業の面接が6月にあることを伝えたところ、選考状況を随時報告してほしいとのこと。それ以降、2週間に1度程度、定期的に選考中の企業名と志望度、選考の状況をメールで連絡しています。
Bさん 3月1日に専門店から内定をいただきました。ほかの学生は2週間程度しか待ってくれないようなのですが、志望先の自動車の選考が続いていることを正直に話したら、「そこが決まるまでは待つ」と言っていただきました。でも自動車の内定が出た日、内定辞退の連絡を入れたら「せっかく待ったのに......」とガッカリされてしまいました。ほかに早く就活をやめてほしいと圧力がかかっているのが、外資系の自動車ディーラーです。ここは他社の内定や選考をすべて辞退したら内定を出すと言われている企業で、「はっきりした回答がほしい」と3日に1回ぐらい電話が来ます。
Cさん 内定先からは「待てるだけ待ちますが、内定承諾書は出してください」と言われました。内定承諾書は提出後であっても辞退できると聞いていたので、内定をいただいた4月上旬に出しました。
――今年はメガバンクが採用数を絞るというニュースがありました。金融に内定を持っている2人はどのような感想を持ちましたか?
Aさん採用枠が少なくなるということは、そこに自分が入社することができたならば、今までの新入社員以上に期待されて、認めてもらったことになると前向きに考えました。採用人数の増減によって受けるのをやめようといった決断にはならないのですが、増減には理由があり、それを知っておくだけでも違うのかなと感じています。
Dさん 噂や情報に踊らされているわけではないのでしょうが、就活生の間で銀行の人気が下がっており、"穴場"になるのではないかと思いました。個人的には銀行はこれからも安定業界だと考えています。銀行の人事担当者も現状をしっかり認識した上で入行してほしいようで、リクルーターの方と話をしたときに、「人員削減のニュースを聞いてどう思う? なぜ今、銀行を志望するのか?」とよく聞かれました。
就活を終えている学生も
――周囲の学生の就活状況はいかがですか?
Eさん 自分の周りはIT業界の志望者が多く、選考の進みが早いので、すでに就活を終了している学生が結構います。就活はそれぞれのペースで進めるものであると理解しているものの、そういった状況を見ると少し焦ります。
Bさん ゼミ生の仲間同士で選考状況を共有することが伝統なのですが、それを見ると終了しているのは1人だけです。みんな行きたい企業の内定は持っていますが、就活は続けています。
Dさん 大学院の同期3人はいずれも活動を続けていますが、1人は入社企業を決定し、実質的には終了しています。受けている企業はみんな似ていますが、インターンシップに行ったか、行っていないかなどで、選考回数やスピードが若干異なり、そこで差が出ています。
――内定を持ちながら就活をしている人が多いですが、いつまでに就活を終えたいですか?
Bさん 航空の結果が6月3週目までには出るので、そこ次第だと思っています。
Eさん 私は途中で志望業界を変更したこともあり、就活を再スタートした状態です。6月後半も面接の予定が入っており、7月半ばぐらいまでは続きそうです。
Dさん 6月10日ぐらいには決着がついていると思います。手持ちの企業以外に新しく受けようという気持ちもないので、その頃には終えたいです。
Cさん ちょうど昨年の6月ぐらいからインターンシップなど少しずつ就活を始めました。1年間やってみて、自分ではやり尽くしたと考えているので、6月いっぱいで終了したいと思います。7月からは社会人になるための準備に取りかかりたいです。
Aさん 自分はいつまでに終えるといったような時間にとらわれることなく、第1志望と思える企業から内定をいただけたら終了しようと考えています。新卒の就活は一度だけなので、自分の気持ちを大事に、納得できるまで続けたいです。
次回は今年話題になった人工知能(AI)選考やワンデーインターンシップなどについて聞いています。
(日経HR 町田真寿)
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