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小沢コージのちょっといいクルマ

ボルボが日本で「脱ディーゼル」に踏み出した理由

2019/1/9

2018年9月25日に発売したボルボの「V60」は、これまで日本で人気の高かった「クリーンディーゼル」仕様を設定しない

2019年以降に導入する新型車は全て電動化(EV・PHEV・マイルドHV)させると発表。一躍エコ化の先陣を切った北欧ボルボ。日本でもボルボ・カー・ジャパンが待望の新型ステーションワゴン「V60」にディーゼルを設定しないと発表した。現状、輸入車に関してはドイツ、フランス勢ともにパワーと燃費に優れたディーゼルが人気という日本市場で、いち早く決断を下した理由は何か。前編「『ライバルをおとしめない』 絶好調ボルボ社長の戦略」に続き、同社の木村隆之社長を直撃した。

◇  ◇  ◇

小沢コージ(以下、小沢) 聞いて驚きました新型V60。この世代からクリーンディーゼルの設定がないそうで。聞けば同じミディアムクラスのSUV、XC60のディーゼル比率は既に約6割。ボディーが重いこともあってよく売れています。そうでなくてもボルボ・ディーゼルはパワフルかつ燃費もいいと評判はいい。よく脱ディーゼルに踏み切れましたね。

木村隆之社長(以下、木村) ディーゼルは15年の世界的スキャンダルがなかったらエコなパワートレインとして間違いなく残ったはずです。でもフォルクスワーゲン(VW)のスキャンダルが起きてしまいました。しかもディーゼルは残念ながらグローバルな商品ではなく、米国ではほぼ売れていませんし、中国にもありません。欧州以外はインド、日本、韓国ぐらいで、いうなれば欧州一本足打法なんです。

小沢 確かに。

木村 そしてその本拠地欧州でのディーゼル比率がここ1年で20ポイントも下がっている。これは驚くべきことですよ。しかも欧州は6対4か半々ぐらいの割合でカンパニーカーが売れている。カンパニーカーとは会社から供給されているクルマのことですが、なぜ欧州に多いかといえば、所得税が高いから。現物支給したほうが税金が安くて済むんですね。

小沢 会社から現金をもらってクルマを買うより、クルマを直接もらったほうがオトクだと。

木村 その通り。企業にとっても、個人にとってもいいんです。そのカンパニーカーは、「脱ディーゼル」といった状況変化に対して本来は反応が鈍いものです。なぜってリースで車両の買い取り価格が保証されていますし、ガソリン代まで会社持ちですから。エグゼクティブになると、個人の携帯電話代まで企業が払うくらいで、身持ちのモノの相場変動に関心が薄くなるわけですね。

その欧州においてディーゼル比率が20ポイントも落ちているということは、日本のように身銭を切ってクルマを買っているお客様のほとんどが、ディーゼルを買ってないということになります。

小沢 なぜですか。イメージはともかくディーゼルの方が露骨に燃料代が安くて済むのに。

■5年後の中古ディーゼル車の価格は?

木村 リセールです。もしも欧州でディーゼルを買った場合、3年後、5年後にそれがいくらになるか、現時点では誰にも分からないんです。そうなると、怖くてディーゼルなんて買えないですよね。

小沢 確かに! 中古価格が落ちるだけならまだしも、地域的にディーゼルに乗っちゃいけない場所が出たりすると怖いですね。(編集部注 欧州では大気汚染対策としてディーゼル車の乗り入れを制限しようとする都市が増えている。マドリード、アテネなどは25年までにディーゼル車の乗り入れを制限する方針を打ち出している。ドイツの連邦行政裁判所も都市部の市街走行禁止を認める判決を出した ※記事「ディーゼル車、なぜ撤退相次ぐ? 不正・規制が引き金」参照)

木村 お客様のほうがそう言い始めているんです。

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