優れた事業モデルほど危険 社員が成長しにくい会社
20代から考える出世戦略(49)
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新卒で就職するときや転職の際に、会社の知名度を基準にすることは心理的にとても普通のことです。しかし単純に「メディアでよく報道されている」会社というだけでは、キャリアを積むのに向いていない場合があります。今回はその見極めのポイントをご紹介します。
入ってみたら夢と希望だけだった
テレビCMがたくさん流れている有名企業の改革をお手伝いしたときのことです。
毎年新卒社員を数十名採用していて、3年での離職率も高くはありません。若手も中堅も経営幹部もそれぞれ活気があります。
社長は、さらなる成長のためのドライバーとして評価報酬制度の改定を行いたいという要望でした。公表されている平均年収も比較的高かったのですが、さらに成果と連動させる割合を増やして、業績を伸ばしてゆきたいということでした。
そこで社内の調査を進めていったのですが、妙な違和感がありました。
たしかに社内には活気があるのだけれど、どこか暗さを帯びているような雰囲気なのです。
やがて現状調査の段階が終わり、インタビューやアンケート集計結果を確認した時点で、違和感の正体がわかりました。
たしかに平均年収は高いのですが、それは高い金額で採用された中途採用の方々が多かったためでした。
新卒から入った社員は、10年たってもたいして給与が増えていないのです。
だから新卒社員だけで平均年収を計算すると、業界最下位に近い水準でした。
また、中途採用の方々だけを調べてみても、やはり給与は増えていませんでした。採用されてから何年たっても、採用時点の給与のままだったのです。
インタビューやアンケート結果でも「とにかく給与が増えない」「何をすれば認められるかがわからない」「目立った人だけが得をする状態」という意見が多数出てきました。