魔法の服薬法 子どもの心くすぐる「おとな飲み」とは子どもへの薬の上手な飲ませ方(3)

日経ドラッグインフォメーション

(1)水が入ったコップを子どもに持たせて、口にたっぷり含んでもらう(稲垣先生は、「お口に大きなお池を作ってね!」と話します)

(2)粉薬を口に投入するときには、喉の奥に入れるとむせてしまうので、下顎の前歯の裏側に入れる

この2つがポイントです。最後に保護者と患児が「おとな飲み」することを受け入れてくれたら、薬手帳に「おとな飲み」のリーフレットを挟み、「飲むときにもう一回見てね」「おとな飲みができたら次回教えてね」と言葉を添えています。

いながき薬局では、服薬指導で「おとな飲み」を紹介し、患児がやる気になったら、お薬手帳に「おとな飲み」のリーフレットを挟んでいる(写真提供=稲垣美知代氏)

成功体験により自信が付く

たったこれだけの服薬指導ですが、再度、薬局に来た保護者から「この方法で飲めました」「今まで嫌がっていたのに、うまく飲めた」とうれしい報告を多数聞きます。一度うまくいくと、次からは薬を飲ませるのが楽になります。今まで、色々なものに混ぜてやっとのこと飲んでくれたお子さんが、水だけで飲めるようになることもあります(成功することで自信が付くようです)。

稲垣先生は、この方法のメリットを以下のように分析しています。

【おとな飲みのメリット】

(1)「おとな飲み」というネーミングが子どもの自尊心をくすぐる

(2)飲み方の手順を写真を使って説明する

(3)子どもにも分かりやすい

(4)粉薬を水だけで飲めると達成感を得られる

これらのメリットが対象年齢の子どもに受け入れられたのだろうということです。

もちろん「おとな飲み」は万能ではなく、4歳以上の子ども全員にこの方法で飲ませることができるわけではありません。ただ、最初に書いたように、薬は本来、水で服薬すべきものです。「おとな飲み」は子どもの成長に沿った服用指導方法です。よかったら皆さんも試してみてください。

[注1]稲垣美知代 第24回日本外来小児科学会抄録 2014;106.

【子どもへの薬の上手な飲ませ方】

(1)薬を嫌がる子ども どのくらい飲めれば大丈夫?

(2)横抱きで少しずつ… 乳児に薬を飲ませる4つのコツ

松本康弘さん
ワタナベ薬局上宮永店(大分県中津市)。1956年生まれ。熊本大学薬学部卒業後、大手製薬企業の研究所勤務を経て、2001年に株式会社ワタナベに転職。最初に配属された店舗で、小児の服薬指導の難しさや面白さに魅せられ、患者指導用のパンフレットの作成などを積極的に行うようになった。小児薬物療法認定薬剤師。著書に『極める!小児の服薬指導』(日経BP社)。

[『極める!小児の服薬指導』(日経BP社)より再構成]

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