老舗ワイナリー、ヴィーニャ・エラスリスの建物は現代的なデザイン

第3の理由は高い技術だ。70年代以降、チリのワイン産地としての将来性に目を付けたスペインのミゲル・トーレスやフランスのシャトー・ムートン・ロートシルト、カリフォルニアのロバート・モンダヴィといった世界的なワイナリーが相次いでチリに進出した。技術移転が進み、品質がみるみる向上した。

では、1000円前後かそれ未満の安旨チリワインと、2000円や3000円以上する高級チリワインは、味わいにどんな違いがあるのか。

一般に、おいしいワインに欠かせない条件の1つに、果実の甘さと酸味のバランスがある。酸味には食材のおいしさを引き立てる効果があり、ワインも適度な酸味のあった方がおいしく感じる場合が多い。この点、安旨ワインは、果実味は十分だが酸味に欠ける傾向がある。これに対し、高級ワインは適度な酸味があるため、よりおいしいと感じる人が多い。熟成に樽(たる)を使うため、味わいに複雑さも出る。

ただし、適度な酸味を出すには、暑い平地ではなく、昼夜の寒暖差の大きい山の斜面にブドウの木を植えたり、ブドウが熟しすぎて酸を失わないよう栽培管理や収穫のタイミングに細心の注意を払ったりしなければならない。樽を使えば樽代もかかる。このため、安旨ワインに比べてかなりのコスト高になる。

それでも、チリの高級ワインは先進国の高級ワインに比べるとかなり割安だ。そんな高級チリワインの中から、日本でも2000~3000円台で買えるお薦めのものをいくつか紹介しよう。

ヴィーニャ・エラスリス マックス・レゼルヴァ・シラー

・「ヴィーニャ・エラスリス マックス・レゼルヴァ」シリーズ

ヴィーニャ・エラスリスは1870年創業の老舗ワイナリーで、1本1万円を超える最高級レベルのものは、国際ワインコンクールなどでボルドーの最高級ワインを上回る評価をたびたび得ている。

マックス・レゼルヴァ・シリーズは赤は5品種、白は2品種をそろえ、ブドウは主にアコンカグア・ヴァレー地区かカサブランカ・ヴァレー地区のものを使用。アコンカグア・ヴァレーは南米最高峰アコンカグアから吹き下ろす冷涼な風の影響、カサブランカ・ヴァレーはチリの沖合を北上する寒流の影響で、ブドウは高い酸度を保ちながらゆっくりと熟す。このため、果実味と酸味のバランスの非常によいワインに仕上がっている。