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電車もタクシーも定額乗り放題 MaaSが日本変える 「MaaS モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ」 日高洋祐氏

2018/12/26

日本ならではのMaaSとは何か。ヒントとなり得るのが、本書でも取り上げる「Beyond MaaS(ビヨンド・マース)」の世界だ。日高氏は「既存の交通サービスを統合するだけでは、ユーザーの使い勝手はよくなっても、産業として今以上の利益が生まれることは望みにくい。MaaSは移動を自由にする『手段』であり、その先の様々な産業と連携することで、より大きな社会的なインパクトが生まれる」と話す。

たとえば、米サンフランシスコの不動産会社はウーバーと連携する住宅を販売する。住人には、公共交通やウーバーの配車サービスに使える月100ドル(約1万1200円)分のICカードを渡し、最寄り駅まで5ドルの相乗りサービスも提供する。MaaSと住宅をセットにし、マイカー不要のライフスタイルを提案する試みだ。

こうしてMaaSと住宅開発が融合していけば、街中の駐車場は減らせる。その分、住居を広くしたり、新たな商業施設を呼び込めたりしそうだ。移動が不便だった住宅地にMaaSを導入すれば、不動産の価値が上がる可能性もある。地域経済に好循環が生まれると期待できるのだ。

スムーズな送迎込みで一括予約できる医療サービス、移動時間を含めた新しい買い物体験を創出する次世代コンビニ、カーシェア用のEVを街の再生可能エネルギーの需給を安定させる蓄電池として使う――。本書が紹介する様々なアイデアは「100年に一度」といわれるMaaSによる「モビリティー革命」の一端にすぎない。

日高氏は「MaaSは、社会的な課題が多い日本でこそ進化させられる。高齢者の自動車事故や都市の交通渋滞、災害時の混乱、地方交通の再構築など、MaaSで解決できることは多い。2020年の東京五輪・パラリンピックをひとつの目標とし、世界最先端のMaaSとスマートシティーの実現つなげていきたい」。新たな成長エンジンとの期待も高まる日本版MaaSに取り組む構えだ。

日高洋祐
MaaSプラットフォーム事業などを手掛けるMaaS Tech Japan代表取締役で、日本のMaaS推進団体「JCoMaaS」理事。2005年、JR東日本に入社。モビリティー戦略の策定などに従事した後、18年11月に独立し現職。東京大学大学院情報学環・学際情報学府博士課程で国内外の調査や実証実験から日本でのMaaS社会の実現に向けた提言をまとめた。

(日経クロストレンド 勝俣哲生、写真 高山透)

MaaS モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ

著者 : 日高 洋祐, 牧村 和彦, 井上 岳一, 井上 佳三
出版 : 日経BP社
価格 : 2,160円 (税込み)

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