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「私が変える」地域に新しい力 女性知事らパネル討論 日経ウーマノミクス・シンポジウム2018

日経ウーマノミクス・プロジェクト

2018/12/20

女性がさらに活躍できる社会の実現に向けて、日本経済新聞社は11月8日、「日経ウーマノミクス・シンポジウム2018」を東京・大手町の日経ホールで開いた。「私が変える! 地域が変わる! 女性ルネサンス」をテーマにしたパネルディスカッションには女性知事らが登壇。危機管理や女性のリーダーシップ発揮を巡り意見を交わした。(本文敬称略)

第1部 パネリスト(左から)
東京都知事 小池百合子氏
経済キャスターなどを経て1992年に参議院議員に当選。93年から衆議院議員を8期務め環境相、防衛相などを歴任。2016年に女性初の東京都知事に就任
北海道知事 高橋はるみ氏
1976年通商産業省(現経済産業省)入省。貿易局輸入課長などを経て2001年北海道経済産業局長。03年2月退官、同4月知事就任(4期目)
昭和女子大学理事長・総長 坂東真理子氏
1969年総理府(現内閣府)入省。78年に日本初の「婦人白書」執筆。埼玉県副知事も務め2003年退官。昭和女子大学教授、学長を経て16年4月から現職

■小池氏「語られてこなかったところから発信すべき」

司会 まずは知事2人に政治家を志した経緯は。

東京都の小池百合子知事

小池 キャスターをしていた1990年代は世界の激動期だった。湾岸戦争があり、米国とソ連(当時)の冷戦が終結し、日本もバブル経済が崩壊。産業構造も変化し、女性の役割も変えていく必要があると考えていた。だが、「政官財」で作り上げられた社会はなかなか変わらない。自分に何かできることがあれば、日本を大きく変える手伝いをできるのではないかと考え、政治家を志した。

今、私は「都民ファースト」と言っている。この言葉を使うのは政治家として、女性をはじめ、従来、あまり語られてこなかったところから発信すべきだとの思いがある。

高橋 私は、あまり政治家志向はなかった。ただ、2000年代初めの北海道勤務の際、総じて見れば潜在力は大きいのに道民の方々が自信を失っているのが気になった。90年代後半の北海道拓殖銀行の経営破綻に加え、省庁再編でインフラ整備を担っていた北海道開発庁が今の国土交通省の一部局となったことも影を落としたようだ。

だが、北海道は自然環境が抜群で観光資源に恵まれ食の宝庫でもある。私はよそ者だが、道庁のトップになり役に立ちたい、と地域愛が高じて知事選に出た。

坂東 政治は本当に大切なので昭和女子大学の学生たちには、この政治家ならばと思う人のサポーターになってはと話している。自分を応援してくれるサポーターの声なら政治家も聞き入れやすい。

■高橋氏「北海道地震復旧・復興は人生で一番記憶に残る仕事」

司会 リーダーは危機管理での役割も大きい。高橋知事に9月の北海道地震での対応を聞きたい。

北海道の高橋はるみ知事

高橋 9月6日は北海道が経験したことのない震度7。さらに全ての電力供給が止まる全国初のブラックアウトに。難局ではあったが、これは知事を長くやってきた人間に神が与えた応用問題であろうと、とらえて取り組んだ。

まずは情報収集を進め、私自身は震源地近くの3つの町の首長に激励の電話を入れた。最優先となる人命救助は道警、消防、自衛隊が総力を挙げて頑張ってくれた。大変だったのはブラックアウト。電力供給再開に向け、経済産業相とも頻繁に連絡を取った。計画停電回避のため、札幌ドームで予定されていた北海道日本ハムファイターズの2試合の中止も余儀なくされたが、なんとか次のステップへ。復旧・復興は人生で一番記憶に残る仕事だ。

司会 小池知事はどうか。

小池 私は阪神大震災を経験し、いかにトップの迅速な対応が大切かを痛感した。そこで交通網が止まった場合も都庁にすぐ向かえるように自宅の電動自転車は充電を欠かさない。

いざ災害が起きると、避難所では授乳をさせにくいなど女性特有の問題も。そこで女性の目線から防災対策をまとめた「東京くらし防災」を作成し、日ごろから心構えを持っていただけるように美容院やスーパーのレジなどに置いてもらった。災害対策が問われるなか、改めて都内のハード面の問題点をあぶり出し対応するつもりだ。

■坂東氏「無意識の偏見にとらわれず期待を」

昭和女子大学の坂東真理子理事長

坂東 知事は議員と異なり、いろいろなことを具体的に実行できる。法律や条例で様々な決まりがあるが、実情に合わせた弾力的な運用でリーダーシップを発揮し具体的な成果を上げてほしい。特に教育では、地域で学校の応援団になりたい人がたくさんいる。現在は教員免許状を持つ人でないと教壇に立てないが、多様な人がかかわれるように知事の力に期待したい。

司会 さらなる活躍に向け、女性たちに助言を。

高橋 私は女性だから損をしたと思ったことは一度もない。むしろ、女性の方ができることが多い。上司とうまくいかない人は男性でも山ほどいる。自ら努力をすれば上司とも仲間ともうまくできるので頑張ってほしい。

小池 同感だ。もし苦難があれば乗り越えていってほしいし、乗り越えられるんだと強く自分に言い聞かせて頑張ってほしい。

坂東 大事なのは女性に期待すること。女性自身も「どうせ女だから」といった無意識の偏見にとらわれないようにしてほしい。

「私が変える」というのはとてもいいメッセージだ。半径1メートルなり5メートルなりの範囲でも、やろうとさえ思えば、あなたの周りを少し変えられる。工夫や考えは必要だが、そうしたことの積み上げが社会を変え、地域を変える。そして、きっと日本や世界を変えることになると期待している。

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