U22

生き方

気まずい空気をほぐす会話の技術 やる気スイッチを入れよう(16)

明星大学特任教授、JTBコミュニケーションデザイン ワーク・モチベーション研究所長 菊入みゆき

2016/8/9

就活のグループディスカッションや授業中のグループワーク、あるいは普段の会話で、発言が止まり、場が凍ってしまう時があります。気まずい雰囲気にいたたまれなくなりますし、議論に対するやる気が失われますよね。こういう時、一体どうすればいいのでしょうか。

雰囲気を作る

グループディスカッションのキーになるのは、実は発言が多い人ではありません。他の人が発言しやすい雰囲気を作る人です。

三橋さん(仮名)という女子学生は雰囲気づくりが非常にうまく、彼女がいるグループはいつも和やかに良い議論をすることができます。ある授業でショッピングモールへの新しい集客方法について議論していた時も、そうでした。リーダーの学生が、「1人1つずつなにかしらアイデアを出していこう。小さいことでも、ありえないようなことでも、全然かまわないから」と声をかけました。

三橋さんは、「ああ、1人1つずつね、小さいことでもね」と応じます。すると、他のメンバーもうなずいて合意ができ、議論が進み始めました。リーダーの隣の学生が、「人が集まるっていう意味では、ベタだけどアイドルとかお笑い芸人とかを呼ぶ、とか?」と言うと、三橋さんが「アイドルとかお笑い芸人ね、うんうん」と応じます。アイデアを出したメンバーは、ホッとしたように笑顔になり、「俺、この前乃木坂46のライブに行ったんだけど、すごかった。あれくらい人が集まったらいいんじゃないかと思うんだけど」と話が広がり始めました。

オウム返しの魔法

三橋さんが使っていたのは、オウム返しという相づちの手法です。相手が発した言葉をそのまま繰り返すのです。たったそれだけなのですが、発言した人にとって、「自分の言葉が受け入れられた」というサインになりますし、グループ全体にとっても、「あなたの言葉を受け入れましたよ」という気持ちを、三橋さんに代弁してもらったことになります。

彼女の発言がなかった場合を想像してみましょう。リーダーの「1人1つずつアイデアを出そう」という発言に対して誰も何も言わず、シーンとしている。リーダーは自分の提案が皆にどう思われたのかわからず不安になり、グループ全体の雰囲気も固くなる。緊張が漂い自由な発想ができずにアイデアも出にくくなる。場が凍っています。

中央は筆者

イエスでもノーでもなく、オウム返しというところもミソです。例えば、「いいね、そうしよう」とイエスで応じた場合、「自分はアイデアを持ってないからいやだ」と思っている人は、「なんだそれ」という気持ちになるでしょう。しかし、「1人1つずつね、小さいことでもね」と、別の人の声でもう一度言われることで、「とにかく1つアイデアを言えばいいか」と提案を受け入れやすくなります。

アイドルやお笑い芸人というアイデアについても、オウム返しが受け止めてもらえたという安心感につながり、ライブに行った話をしやすくなりました。

どのキーワードを拾うか、ということも大事なポイントです。アイドル案に対し、「ベタだけどね」というワードをオウム返ししてしまうと、「そうか、やっぱりベタでダメか」と話はしぼんでしまいます。相手が言いたいと思っているポイントを拾いましょう。

U22 新着記事

ALL CHANNEL