リーディングの壁突破法 1分間に200語音読目指す
TOEIC超勉強法(8)
前回は第5の壁「スピーキングの壁突破法」をご紹介しました。今回は、第6の壁:TOEIC860点〈リーディングの壁〉突破法です。今回は、TOEIC400点から英語学習を始め、ついに860点の壁を突破したKTさんのケースを紹介します。
体験談 「リーディングの壁突破法」は、意外なものでした!
リーディングに苦しんだ最大の原因は、「訳読」でした。わからない単語が出てくるたびに辞書を引いて訳しながら読むのですが、辞書を引くたびに読むのがストップし、分からない単語のところで目が停止してしまいます。そして集中力が散漫になり、読むことが苦痛になり、結局読むのをやめるということを繰り返していました。
その悪循環を断ち切ったのが、読む素材と読み方を変えたことでした。読む素材は簡単なものに、読み方は訳さずにスピードを上げて読むということにしました。
簡単な英語ですから、訳さずにたくさんの英文を読むことができます。次第に、英語を英語のまま読んでいる自分と出会うことができました。英語でなく、ストーリーを追いかけている自分に気付いたのです。
これを半年ほど続けて、TOEICを受けてみたら860点を超していました。先生から、聞く素材は自分のレベルよりも一つ上のモノを、読む素材は自分のレベルより一つ下のモノを・・・」というアドバイスをいただきましたが、それを実感したのが、この『読む素材と読み方の変更』による伸びの体験でした。
TOEIC800点台は、英語と日本語が頭の中でけんか?
KTさんのように、TOEICで800点を超すころになると、簡単な英文は訳さずに英語のまま読めるようになってきます。でも、複雑な英文になると訳読の世界に逆戻りしてしまいます。私もそうでした。読む素材の難易度によって英語のまま読んだり訳したり、行ったり来たりしていました。
英語回路がまだしっかりできていなかったからだと思います。頭の中で日本語と英語がMIXして、まだら模様になった感覚がしたものです。まるで、頭の中で英語と日本語がけんかしているような感覚です。ここで、長い間慣れ親しんだ訳読の世界に戻ると、860点の壁は突破できません。
訳すことは読むことではありません
訳すことは読むことではありません。訳すことは、英語という記号を日本語という記号に置き換えるという暗号解読作業です。入門期にはある程度仕方がありませんが、いつまでも暗号解読していては英語を英語のまま読めるようにはなりません。
読むとは英文を見て、日本語を介さずに即座にイメージが浮かんでくる状況をさします。まずは、1分間に150語~200語(音読)で、そして200語~300語(黙読)で読むトレーニングを重ね、訳さずに頭の中にイメージを作るトレーニングを始めましょう。それを続けて行けば、英語を英語のまま読める日が必ず来ます。
自分で時間を測り1分間に何語読めるかチェックすることから始めてみましょう。自分の現在の実力や努力の成果が数値化されると、次々と高みの目標を自ら設定し、自分の限界に挑戦するようになります。目標実現力をつけるためにも、ぜひ1分間に読める語数を測るところから始めることをおススメします。
(1)速写トレーニング
口に出した英語が聞けるように、書いた英語は"さっと"読めるようになります。英語を英語のママ読めるようになるための第一歩は書くことです。私たちは漢字を覚えるとき、点線で下書きしてある文字を一生懸命なぞり書きしましたね。最初はゆっくり間違いながら、そしてだんだん早く正確になってきたはずです。
英語を読む力をつけるための基礎作りも基本は一緒です。使ってみたい英文の模写がお薦めです。とくに素早く模写する「速写」をお薦めします。速写した英文は、訳さずさっと読めるようになります。以下、1分間に書き写す語数の目安です。
初級者:15~20語
中級者:20~25語
上級者:25語以上
外国人の友人やパートナーから届くemailは模写の素材の宝庫です。全文模写する必要はありません。私は、「へ~、こういうときはこう書けばいいのか」と感動した文章を模写するようにしています。感動した英文は、記憶に深く刻まれるからです。
(2)速読トレーニング
もう20年以上前になりますが、私はTOEIC860点の壁を突破するのに5年もかかりました。この壁をあっさり突破する人たちを見ると、うらやましく思います。当時私は、「難しい英文を、辞書を引きながらしっかり訳す」ということにこだわっていましたので、860点の壁突破に時間がかかったのだと思います。
その状態を脱したのが、KTさんと同じ「簡単な英文の速読トレーニング」でした。簡単な英文の速読でスピードと量の世界へ入ることにより、一気に860点の壁を突破しました。「変化は、こだわりを捨てたとき突然やってくる」・・・・そのことを、一番実感したのが、このときだったと思います。
次回は、第7の壁:TOEIC950点〈ライティングの壁〉突破法をご紹介します。
「英語トレーニングのICC」代表 千田潤一
http://www.icc-chida.com
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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