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「キッチンの広い家に引っ越そう!」 ~ゼロからはじめた料理教室 わたしがカフェを開くまで(3)

株式会社フォルスタイル代表取締役CEO 平井幸奈

2016/1/15

「自分が本当にやりたいこと」のために帰国した私には人脈も、お金も、場所も、何もありませんでした。私にあったのは「シドニーでの経験を発信したい!」という強い思いだけ。ただ、幸いにも私の周りには料理を教えてほしいと言ってくれる友人がいました。それなら「まずは自宅で料理教室を始めよう!」。そう考えたのです。

そうはいっても、私の家は一人暮らしの1K。キッチンは狭く、火口も1つで到底料理教室のできる環境ではありませんでした。料理教室用に場所を借りるにもお金がかかるし、小さいサイズのレンタルキッチンは当時なかなか見つかりませんでした。

帰国5日後には引越し

そこで、「キッチンの広い家に引っ越そう!」と思いついたんです。両親には「貯めたアルバイト代で引っ越し代と家賃の差額を払うから引っ越すね」と言って説得しました。「とにかくキッチンが広い家」という条件で、すぐに新居を探すために不動産を駆け回りました。そして帰国して5日後には「キッチンの広い家」に引っ越しをしました。

それから新しい家で料理教室を始めました。レシピを作って材料を準備しておき、材料費のみもらって1回に2、3人に教えていました。それが少しずつ口コミで広がっていき、学生団体主催の料理教室や、小さなカフェのアイドルタイムの料理教室の講師として呼んでいただけるようになりました。

「美味しいものを提供する!」

その延長線上で、単発のカフェのプロデュースやケータリングを始めました。初めてプロデュースしたカフェでは、仕入れから何から料理の全てを担当させていただきました。当時は「美味しいものを提供する!」という一心で、経営的視点を全く持っていなかったために、原価率が80%なんて大失敗をしたこともありました(笑)。

最も印象に残っているのは渋谷で100人規模のケータリングをしたことです。経費削減のためマンパワーを使い、渋谷の会場まで100個以上のケーキを運んだのです。100個のケーキとともにスクランブル交差点をダッシュして半分くらい、ケーキが壊れてしまったのは苦い思い出です。

ビジネスではなく、ほとんど材料費しか頂かない「趣味」の延長で活動を広げていきました。毎回「美味しかった」と言っていただくことがとても嬉しくて、大きなやりがいを感じていました。数えてみると帰国後約1年間で、1000人以上の人に料理を食べていただいていたことになります。

そんなある日、「日曜日に使っていないカフェがあるから使っていいよ」というお話をいただきました。そこは料理教室をするには広すぎるし、いっそここでカフェをやってみたい。そんな気軽な思いから始めたのが、「ForuCafe(フォルカフェ)」でした。

平井幸奈(ひらい・ゆきな)
1992年生まれ、広島県出身。フレンチレストランのキッチンでのアルバイトをきっかけに料理の世界に魅了される。2012年8月より2カ月間、単身オーストラリアのシドニー渡り、billsサリーヒルズ店、ダーリンハースト店で修業。帰国後、料理教室・ケータリング単発のカフェプロデュースなどを手がける。13年9月に日本初のブリュレフレンチトースト専門店『ForuCafe』、14年11月にシチュー専門店『ForuStew』をオープン。15年4月に黄金比グラノーラ「FORU GRANOLA」をオープン。

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