内面的女子力、外面的女子力。あなたはどっちが高い?
私たちのリアル(2)
"私たち"にとっての最重要事項、それはずばり「イベント」です。ここ2~3年で、ハロパ(=ハロウィンパーティ)が台頭し、10月末の渋谷は仮装した若者で大混雑! なんてニュースは記憶に新しいと思います。
そんなイベントの中でも、2月14日のバレンタインは女子にとって重要なイベントのひとつ。バレンタインと言えば気になる男の子にチョコを渡すイベント...と思われがちですが、一番盛り上がるのは女子高内での「友チョコ」です。女子高内では、有名JKともなると100個近くチョコをもらうこともあるそうで。羨ましく思う男性もいらっしゃるのではないでしょうか?
この「友チョコ」という言葉が定番化して15年ほどたちますが、今やチョコに限らず、クッキー、マカロン、フロランタンとお菓子は多様化し、はては卵焼き、鶏のから揚げにいたるまで! 友達との交換に花が咲きます(お菓子が主流だからこそ、辛い系の卵焼きやから揚げがあるのはお口直しに嬉しいみたい)。
そう、バレンタインは、いわゆる「女子力」の見せどころなのです。
ところで、女子力が今や内面的なものと、外面的なもの、二つに分かれることをご存知でしょうか。
内面的女子力と言えば、たとえば読書、料理、写真のコラージュ、美文字等。外見ではわからない特技を表現する能力のことです。今の子は、本当にこの内面的女子力をアピールすることが上手。instagramやtwitterを通じて、日ごろからこれらのセンスを披露する場が増えたためだと考えます。作った料理を可愛く加工してinstagramにて発信。それも、自慢にならないようにさりげなく。SNS世代だからこそ、本能的に自分がアップロードする内容が、他人から見てどう映るのかわかっているのでしょう。
さて「女子力」と言えば、異性からの「モテ」という言葉がセットで考えられがちですが、内面的女子力は実は同性である女子に向けて発せられることが多いのです。バレンタインが女子内で一番盛り上がるイベントになっているように、可愛くコラージュされた写真も、センスの良い小物も、女子に向けて「素敵な女の子」と思われるために行っていることなのです。
これは別に、友人同士で競っているわけではありません。ただ、お菓子を作り、ラッピングにもこだわり、誰かにそれをほめてほしいと思ったとき、目ざとく気付いてくれるのは同じ女の子です。表に出づらいこだわりは、こだわりに気づいてくれる女子に向けて。その気付き合いこそ、女子の友情なのかもしれません。
一方外面的女子力とは、ずばり、メイクや服装を駆使した外見、自分の見た目の良さのことです。外面的女子力の発揮ポイントは、この5年で大きく変化しています。5年前はずばりつけまつげとブームの目ヂカラ至上主義。アイライナーで目はがっつりと囲み、プリクラのおまけにつけまつげがもらえた、という時代もこの頃です。女子高生におけるカラーカーディガンブームや森ガールの台頭もそうです。派手かどうか、というより、自分の好きな服装で「見た目で目立つ」。これが、5年前における外面的女子力の高さを表していました。
次第に、ディファインやカラコンが台頭し、つけまつげや囲みアイライナーはやや派手すぎる、けばい、と言われるようになりました。この頃うまれた言葉が「ナチュラルに盛れる=ナチュ盛り」(=スッピン風ナチュラルメイクで、自然に実際よりもかわいくなる)です。
「ナチュラル」思考はより、進化していきます。ナチュラル思考が強くなるにつれ、自分の生まれ持った「内から持つ美しさ、素材の良さ」を外見上でアピールすることに焦点が置かれるようになりました。
ここ1年ほどで、女性誌にて特集される言葉は「色気」。「色気メイク」に女性誌『ar』は「おフェロガール」(フェロモンガール)を取り上げるなど、内なる美しさ、として外見に現れる「色気」が注目されるのだと思います。現在、JK、JDにかけて、憧れの女性を問えば、石原さとみさんや小嶋陽菜さんの名前がよくあがります。
特に、石原さとみさんに関しては、出演したドラマ、「失恋ショコラティエ」や「ディア・シスター」での彼女のファッションは毎回NAVERまとめで特集を組まれるほどです。また、「石原さとみ」は、メイクのハウツーを投稿することのできるサイト、「メイクme」での人気ワードに入るほどで、彼女の顔へのなりきりメイク(=なりたい顔に似せるメイク)の投稿は後を絶ちません。彼女たちへの憧れのポイントは「色気」。特にこの二人に関しては「ぽってりとした厚い唇」にて、それを表しているとされます。「目ヂカラ美人」はもはや過去。
コスメ―コーナーには「口元美人」のポップが目立ち、『ar』2月号では「お口美人になる話」という特集が組まれています。そんな中、今や女の子のマストアイテムは、「色つきリップバーム」。人気の商品はメイベリンのリップクリームカラーや、メンタームのリップドレス、レブロンのカラーバーストバームなど。気軽に「ぷるぷるの色気のある唇」を作れることが人気を呼んでいます。
また、唇専用のパックを愛用する子も多く、大学3年生のMさんは「韓国コスメ好きの間では、リップマスクも定番のお土産です!」と語ります。
さて、先程の内面的女子力が同性向けのものであったのに対し、外面的女子力は、異性からの"モテ"向けのものです。内面的努力は、先天的、後天的努力と関係なく自分の作り出したものを"共感"として女子に伝えるのに対し、現在の外面的女子力は、生まれ持った能力として、異性からの"憧れ"を集めるものとして発揮されます。外見、ともに女子力を高め、男女問わず、誰からも好かれる存在になる。今日も、女子の戦いは続いています。
次はホワイトデー。男子の'女子力'の見せ場がやってくる!?
ブームプランニング社長。山口県出身。1986年に企画集団「スキャットクラブ・オブ・ジャパン」を発足、女子高生ビジネスを立ち上げる。88年、株式会社ブームプランニングを設立し、女子高生を中心としたマーケティングやセールスプロモーションを展開。現在、未就学児から小・中・高生、大学生、OL、主婦、シニア層まで全国1万人以上ネットワークを広げ、様々な業種で企業の商品開発にかかわる。活動に関係した女子高生は10万人。著書に『「ウチら」と「オソロ」の世代 東京・女子高生の素顔と行動』など。
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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