ひらめきブックレビュー

つながれば世界変わる ミレニアル世代の新しい働き方 『仕事はもっと楽しくできる』

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「最近、仕事でワクワクしていますか?」と問われれば、うなずくことにためらってしまう人も多いかもしれない。今いる会社がつまらないと考えた人がとる道は「辞める」か「染まる」か「変える」のみ。

本書『仕事はもっと楽しくできる』は、このうち「変える」を選んだ若手社員らの奮闘記。有志団体ONE JAPANを設立した浜松誠氏と、50社1200人に及ぶそのメンバーが、会社を今より楽しく、働きがいのある場所に変えていくために成し遂げてきたことを伝えている。

■まずは仲間とつながってみる

「何のために働いているのか分からない」

現代の日本では、巨大な組織の中で自分の存在意義を見失ってしまうことに悩む若手社員が少なくない。新卒でパナソニックに入社した浜松氏も、新商品のサンプルを荷詰めする日々の中で、同様の悩みを抱えていたそうだ。

しかし浜松氏は、この状況から一歩踏み出したいと考える。初めは内定者懇親会。パナソニック同期20人と内定者20人に声をかけ開催した。この懇親会は好評で、次第に社内に400人超のコミュニティーができた。このつながりの好影響に手ごたえを感じた浜松氏は、パナソニックがパナソニック電工と三洋電機を子会社化したことをきっかけに、3社の若手社員をつなぐOne Panasonicという有志団体を立ち上げた。結成当日には当時の大坪文雄社長も激励に訪れたという。

One Panasonicで得たつながりが、部署を超えたコミュニケーションを生んで仕事にも成果を出している、という参加者も多かった。また、「ようこそ先輩」というイベントではミドルマネジメント層が講演し、若手が熱心に耳を傾けることで、若手―ミドル間の信頼関係が育まれていったという。

■ONE JAPANが日本のものづくりを変革する!

One Panasonicでの体験を生かし、規模を拡大したものが2016年に結成したONE JAPANだ。富士ゼロックス、NTT東日本など大手企業26社の若手120人が集いスタート。現在では、会社を超えたオープンイノベーションやコラボレーションを続々実現し、現在、自治体との協業や行政への提言といった活動も進んでいる。

中でも重視しているのが短期間に集中してソフトウェアなどを共同開発するイベント「ハッカソン」だ。ONE JAPAN主催の第1回ハッカソンで優勝したのは「クックリン」。母の味を保存しようというコンセプトから生まれ、拡張現実(AR)やセンサー技術を富士通グループの社員が、ビジネスモデルの検証を三菱電機エンジニアリングの若手が担当し、アイデア発表からわずか3週間でデモレベルまで実現した。

ONE JAPANが掲げる「つながりの力」。今後、会社や社会を巻き込みながら、イノベーションを巻き起こし、日本のものづくりを根本から変革していくに違いない。

今回の評者=平山真人
 情報工場エディター。8万人超のビジネスパーソンをユーザーに持つ書籍ダイジェストサービス「SERENDIP」エディティング・チームの一員。鹿児島県出身。

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