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難儀な上司の下で働く人へ 来年に向けた3カ条 ダイバーシティ進化論(出口治明)

2018/12/22

写真はイメージ=PIXTA

まもなく2018年も終わり。皆さんはどんな1年を過ごされただろうか。春にはセクハラ疑惑による前財務省次官の辞任があった。この例をはじめ、周囲には知られていないような案件も含め、職場を巡る悩みは実にたくさんある。それらを突き詰めていくと、どれも人間関係の問題に収斂(れん)する。とどのつまり、上司による適切な指導ができていないのだ。

今年は働き方改革関連法案が成立した。だが勤め人にとって、残業を含む労働条件は100%上司で決まるようなもの。性別や年齢を問わず、良き案は採用し成果に応じて公正に評価するといったダイバーシティ(人材の多様性)の推進面でも上司の力は大きい。

ところが、上司は自ら選べないから厄介だ。難儀な上司の下で働く人が来年の状況を改善するにはどうしたらいいか。少し気が早いが3つ提案したい。

1つ目は数字やデータを上手に使うべし、ということ。どんな人にも、その人なりの就労観や価値観がある。けれども客観的なファクトは比較的そうした個々の考えの違いに左右されにくい。上司に意見や情報を伝える際に役立つはずだ。

2つ目。上司の言動に不満や問題があれば同僚と一緒に働きかけよう。どんな頑固な上司でも、複数の部下から異口同音に意見されれば対応は免れまい。3つ目。パワハラやセクハラに遭ったら、公的機関の窓口を含め、迷わず相談しよう。あなたのプライバシーは守秘義務に沿って守られるはずだ。

僕は歴史が大好き。今年は忖度(そんたく)という言葉を何度も耳にしたが、これは日本の伝統では全くない。室町時代の、ばさら大名を見よ。高(こうの)師直は将軍家の執事を務めたが「うちの若い衆が言うことを聞かないから」と将軍・足利尊氏の住む御所を巻いた(包囲)。そのくらい大胆で野趣に富む人物がこの国では活躍してきた。

最後に、上に立つ者は個々の部下が意欲的に動き出す状況づくりが肝。価値観の押しつけは厳禁だ。女性活躍により、トップランナーとして役員・管理職になった女性のなかには注目を浴びプレッシャーに悩む人もいるかもしれない。だが、張り切りすぎると知らず知らずに自身のやり方にこだわるなど価値観を押しつけてしまいがち。「失敗は人を育てる」と鷹揚(おうよう)に構え、明るい気持ちで新年を迎えてほしい。

出口治明
立命館アジア太平洋大学学長。1948年生まれ。72年日本生命に入社、ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを務める。退社後、2008年にライフネット生命を創業し社長に就任。13年から会長。17年6月に退任し、18年1月から現職。『「働き方」の教科書』、『生命保険入門 新版』など著書多数。

[日本経済新聞朝刊2018年12月17日付]

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