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残業不要、家族の時間守る仕事 生み出す女性の新発想 ウーマン・オブ・ザ・イヤー2019

2018/12/18

ステーキ丼「佰食屋」運営 minitts代表取締役 中村朱美さん

誰もが生き生きと、やりがいのある仕事で能力を発揮できるようにするにはどうしたらいいのか。女性誌「日経ウーマン」(日経BP社)が選ぶ「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2019」を受賞した2人は発想の転換と技術の活用でこの課題に挑む。

■大賞は中村朱美さん 1日100食限定、残業はゼロのステーキ丼専門店

求めるのは利益の最大化ではない。従業員の働きやすさこそが重要。大賞を受賞したminitts(京都市)代表取締役の中村朱美さん(34)はこんな発想で「1日ランチ100食限定」に絞るステーキ丼専門店「佰食屋(ひゃくしょくや)」を運営する。長時間労働の印象が強い外食産業で残業ゼロを実現した。

「ありがとうございました。お気をつけて」。4日、京都市右京区。午後2時すぎに100食目を食べた客が店を出ると、従業員達が声を張り上げた。この日の店舗営業はこれで終わり。仕込みや後片付けを終えた従業員らは5時50分には店舗を後にした。深夜営業や過労のイメージが強い飲食業からすると異色だ。

「持続可能なビジネス」。中村さんはこう解説する。「100食が完売すれば、店には従業員が普通に暮らせる所得が入る。ランチ時間だけで店を閉め、従業員は家庭の時間が持てる」。だからこそ質の高いサービスを保てる。

「完売が近づくにつれ、客に『ありがとう』と感謝し店員のテンションが上がる」(中村さん)。評判は広がり、早くに100食が完売すると労働時間がさらに短縮。12年に1号店、15年、17年にも店を出した。

中村さんが夫と佰食屋を開いた当初の目的は夫婦一緒に過ごす時間を持つことだった。100食なら仕事と家庭が両立できる。「脱サラして夫婦で定食屋をやるくらいの感覚でした」

前職は専門学校の広報。役職が上がり、部下が増えるにつれ残業が増え、夫と過ごす時間が減った。子どもができないのも不安だった。決定的だったのは大学時代からの親友の結婚式に仕事の都合で出席できなかったこと。「このまま働いていたら、子どもができても運動会にも行けない」

夫に「1000万円ある2人の年収が、3分の1になってもいいから別の仕事をしよう」と話し、12年7月に退職。同11月に佰食屋を開業した。1000円程度のステーキ丼は精肉前の牛肉を仕入れ、費用を抑えた。今では整理券が午前中に完売する日もある。

「人気なんだからもっと売ればいい」と周囲は言う。でも中村さんは「巨大な外食企業にする気はない。小さくても従業員が気持ちよく働ける店舗をいくつも作りたい」。今や2児の母となった。従業員も「転職して、子どもと風呂に入れるようになった」と喜ぶ。

今後は「50食限定」のフランチャイズを展開する予定だ。夫婦で年収500万円くらいを稼ぎ、豊かで幸せな暮らしと両立する人が広がればと願う。

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