ひらめきブックレビュー

アゼルバイジャンの魅力 写真とともに多角的に紹介 『アゼルバイジャンが今、面白い理由』

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アゼルバイジャンという国にどんなイメージがあるだろうか? そもそも「そんな国あったっけ?」「名前は聞いたことあるけれど、どこにあるかもわからない」などと答える人も少なくないのかもしれない。

■世界情勢を読み解くヒント

アゼルバイジャン共和国はアジアと欧州の境目にあり、東側がカスピ海に面している。人口は約1000万人、国土面積は北海道より少し大きい程度だ。かつてはソビエト連邦の構成国だったが、1991年に独立した。

首都はバクー。最近では万博誘致における大阪の対抗馬として報道されたので、この都市名を記憶する人も多いだろう。同国の著しい経済成長を象徴するかのように、近年は「第二のドバイ」と呼ばれる近未来都市に急成長している。

本書『アゼルバイジャンが今、面白い理由』では、そんなアゼルバイジャンの魅力を、美麗写真とともに、これでもかとばかりに紹介。その歴史から現在の経済事情や地政学、観光スポット、ビジネスポテンシャルなどを網羅し、これ一冊読めば、今なら周囲の誰よりもアゼルバイジャン通になれるに違いない。また、同国はロシアと欧州、中東が交差する重要拠点でもあるため、複雑な世界情勢を読み解くヒントも得られる。

■資源、農業、観光にポテンシャルを秘めた「未来の国」

アゼルバイジャンは「火の国」とも呼ばれる。石油や天然ガス資源に恵まれ、国内のいたるところで、地中から漏れる天然ガスによって自然に燃える炎が見られるという。特に北東部にある、3000年燃え続けているとされる「燃える山」は人気観光スポットだ。

火の国・アゼルバイジャンの経済成長の原動力のひとつが豊かなエネルギー資源であるのは間違いない。欧州に供給する原油や天然ガスのパイプラインの整備も急ピッチで進められている。

それだけではない。同国は農業大国でもある。しかし生産物に付加価値をつけて輸出するところまではいっていないという。また観光地に必要な交通インフラや宿泊施設、サービスの整備もまだまだだそうだ。アゼルバイジャンは急カーブで発展中の「未来の国」であり、日本企業がその未来づくりを手助けする余地がかなり残されている。

同国は親日国でもあり、未来へのポテンシャルと国家建設のポジティブな息吹が、本書からは感じられる。アゼルバイジャンとのビジネスを考えていなくても、ページをめくるだけで、何だか元気が出てくる一冊なのだ。

 今回の評者=吉川清史
 情報工場SERENDIP編集部チーフエディター。8万人超のビジネスパーソンをユーザーに持つ書籍ダイジェストサービス「SERENDIP」の選書、コンテンツ制作・編集に携わる。大学受験雑誌・書籍の編集者、高等教育専門誌編集長などを経て2007年から現職。東京都出身。早大卒。

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