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置かれた場で生き抜く 宇喜多秀家に学ぶ環境適応術 こちら「メンタル産業医」相談室(29)

日経Gooday

2018/12/14

筆者が感じるのは、秀家はいわば「置かれた場所で、しっかり根を張れる人」。つまり環境に順応していく力「環境適応能力」が非常に高い人だと思うのです。

宇喜多秀家像(画像提供=岡山城)

秀家がもしメンタルの弱い人ならば、苦労知らずの超セレブな貴公子から一夜にして敗軍の将としての逃亡生活を強いられた時点で、屈辱に耐えきれず自害してしまうか、その落差に耐えられず心身を病んでしまったことでしょう。

しかし秀家は6年にもわたるハイストレスな逃亡生活に耐え抜き、さらに八丈島という遠く離れた島での貧しい田舎生活にも見事に適応し、子孫を繁栄させながら長寿を全うします。精神医学的に考えると、これだけ大きな環境の変化というストレスに適応していくためには、容易ならぬメンタルのタフさが必要です。

そこで筆者の独断や想像も多分に入りますが、秀家がなぜ傑出した「ストレスに打ち勝つ環境適応能力」を持つことができたのか、具体的に分析してみたいと思います。

■どんな環境でも楽しみを見つけ出す能力の高さ

秀家は生まれながらにしてセレブな殿様で、いわば先代がたたき上げで築いた大会社の二代目社長。父の代からの優秀な家臣にお尻をたたかれ、豊臣秀吉からも大きな期待をかけられつつ、若くして出世街道に躍り出ます。が、周りは徳川家康を筆頭に戦国の世を生き抜いてきた老練で狡猾(こうかつ)な大名ばかり。そんな中にあっても秀家は、秀吉の期待を裏切らず次々と武功を上げ続けていきました。

しかしよくよく考えてみれば、当時20代の若者であった秀家には、かなりのプレッシャーと緊張の連続の毎日だったのではないかと思われます。秀家はどうやってそのストレスを和らげていたのでしょうか?

その当時の秀家の楽しみは、能でした。自分の城で頻繁に能の会を主催し、自ら舞台に立って楊貴妃や遊女に扮(ふん)し演目を演じていたといいます。

ちなみにNHKの同番組内では、このコスプレにも彼にとって重要なストレス解消要素があったのではないかと解説がなされていました。精神医学的に考えても、仕事とは全く関係のない趣味や人間関係を持って楽しむ時間を持つことは、緊張やストレスを和らげる良い気分転換になることは確かです。秀家は、こうしたレクリエーションを自ら創造して楽しむことが非常にうまかったといえるでしょう。

秀家は流人として八丈島に流される道中も、中継地となる島々に立ち寄りながら船を進めていったそうですが、いくつかの島々で地元の名士と交流したり、島の温泉に入ったりと、のんびり楽しんでいたというエピソードが残されています。

また八丈島に上陸してからも、貧しい暮らしのため自ら畑を耕しつつも、和歌を詠んだり、釣りをしたりといった趣味的な楽しみも忘れなかったようです。また島民とも親しく交流し、文字を教える代わりに農作物をもらったというエピソードも伝わっています。

■ストレス対処に有効な「3つのR」

さて現代のメンタルヘルスでは、ストレスに対処するためには、次の3つのRを意識するとよいとされています。

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