powered by 大人のレストランガイド

ケーキなのにケーキでない? ベトナム産チョコの絶品

糖度の高い生のシャインマスカットを使ったタルト 同じブドウのタルトでも使用する食材によって生地やクリームを細かく変更している

チョコレートは、特に朝田さんの思い入れのある素材だ。なにしろ30年以上のホテル勤めを経て2011年に自分の店を立ち上げた時、「食べたいものを作ろう」と考えたら、自然に店頭に多く並んだのがチョコレートを使った菓子だったというのだ。

「子どもの頃からすごく身近にあるお菓子だけれど、プロになってこの食材に接してみると思いもよらない奥深さがあった」と言う。風味、香りがまるで違うものが数えきれないほどあり、同じカカオ豆でも焙煎(ばいせん)方法で味が変わり、チョコレートの製造の仕方で舌触りが変わった。勉強をすればするほど、驚きが増す。

製造現場を見たいと国内外のチョコレートメーカーの工場にも行ったが、カカオ農園には縁がなかった。長い間主な農園は、日本から遠い南米やアフリカに限られ時間が取れなかったからだ。そこに訪れたのが、先のベトナムの農園視察の話だった。そこで作られた製品が発売される前、2014年7月のことだ。ホーチミンから車で2、3時間かけたどり着いたのはジャングルのような場所。

「実は、行く前はあまりベトナムに対していいイメージはなかった」と朝田さんは明かすが、品質や生産量を上げようと真剣に仕事に取り組む生産者の姿を見、農園から加工所に運ぶため山のようにカカオを積んだバイクにもまたがってみた。じんわり生産者の思いが伝わってきた。

ベトナムのチョコレートに出合う前、朝田さんがチョコレート菓子を作る際には、自分が作りたい菓子のイメージが先にあり、それに合ったチョコレートを選ぶことが多かったという。しかし、農園にまで赴いたベトナムのチョコレートに関しては、この素材を一番生かすにはどうしたらいいかと考えた。フレッシュフルーツと同じ感覚だ。「味わいなどに関するアドバイスもしたので、思い入れもあったんですよね」

出来上がったベトナムのチョコレートはフルーティーで芳ばしさもあり、バランスが良かった。溶かした時ももったりしすぎず、水のようにさらさらしてしまうこともない。理想形に近く使いやすいチョコレートだった。どんな菓子を作ろうか――。最初はムースにしたり、フルーツと合わせたり。試行錯誤を重ねる中、「このチョコレートをストレートに食べてもらいたい」という思いが湧いてきた。そこで思い付いたのが、小麦粉を一切使わない「チョコレートケーキ」だったのだ。

メールマガジン登録
大人のレストランガイド
ラーメン・レシピ・コンテスト
注目記事
メールマガジン登録
大人のレストランガイド
ラーメン・レシピ・コンテスト