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ケーキなのにケーキでない? ベトナム産チョコの絶品

2018/12/13

さいたま市「パティスリー アプラノス」のオーナーシェフ、朝田晋平さん シェフが生み出した画期的なチョコレート菓子とは?

さいたま市の洋菓子店「パティスリー アプラノス」。この店に、ひときわ変わったチョコレート菓子がある。「焼きショコラ~極(きわみ)~」だ。ベトナム産のチョコレートを使ったこの一品は、ケーキの形をしていながら実は「ケーキ」ではない。スポンジに見える部分は「焼きチョコレート」。チョコレートと卵、バター、そしてほんの少しのアーモンドパウダーを合わせた生地を特殊な方法で焼き上げているのだ。

「普通のチョコレートケーキとはまるで違うので、あまり受けないかもしれない」――オーナーシェフの朝田晋平さんの危惧とは裏腹にこの菓子は2014年秋の発売以来大ヒット。多い日には1日に50~60個も出て、同店のチョコレートケーキの中で一番人気となっている。

このユニークな菓子が誕生したきっかけは、ベルギーのプロ向け製菓・製パン材料を扱う企業ピュラトスが新しくベトナムでチョコレートの生産を始めたことだった。カカオ生産者の栽培技術を支援、生産者の収入・生活水準向上を目指す独自プログラムを取り入れながら開始したもので、収穫したカカオは現地でチョコレートにまで加工される。朝田さんはその現場を見に行く機会を得たのだ。

ケーキと思って口に入れると舌の上で濃厚にチョコレートが溶け出す ほぼチョコレートのみなので常温で置いておくとほどなく形が崩れ始めてしまう不思議な「ケーキ」だ

朝田さんは使う食材の生産現場に強い興味を持つ。「ただ原料として使うのではなく、生産現場を見て、作っている方の話を聞くと自分に思い入れができる。自分の気持ちが入れば入るほどお菓子に現れ、新しい発想も生まれる。自分のお菓子作りには欠かせない要素なんです」と言う。

例えばフルーツなら、生産者を訪れれば一番おいしい時期、食べ方を教えてもらえる。それを最大限に引き出そうと、生のフルーツをそのまま使ったタルトが生まれる。素材を生かすためのタルト生地はどうか、クリームはどうか。「同じフルーツ、同じ品種でも時期によって食感も糖度も異なるので、それにより生地やクリームの内容も変えます」と朝田さんはこともなげに言う。「それができるのが大量生産の製品ではない、僕らのような個人店の一番いいところ。それこそがパティシエの仕事だと思っています」

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