500万個売れた スマホ女子歓喜の断線防止カバー
古くはガラケー時代のシールやストラップ、最近ならケース。あの手この手でスマホを着飾ってきた女子が2018年、ついに充電ケーブルまでその手を伸ばした。味気なかった断線防止グッズをかわいい動物に仕立てるというアイデア一つで、累計販売個数は500万超えというメガヒットを飛ばしたのが、「ケーブル バイト」(ドリームズ)だ。
断線しやすいといわれるiPhoneの充電ケーブルを、プラグ部分に付けることで保護する。市場に姿を現したのは17年6月。以降数カ月は鳴かず飛ばずの日々が続いたが、17年9月末にツイッター上から突如「着火」した。
一般学生の、何の変哲もないケーブル バイトの写真の投稿が何と10万リツイート、30万いいねを突破。かわいいうえに断線を防止する実用性も兼ね備えるとあって、女子が殺到し、販売数の曲線が右肩上がりの急カーブを描き始めた。
1本にいくつもケーブル バイトをつなげる「連結」需要もSNS(交流サイト)から火が付いた。同社サイトで販売したシリーズ12種類セットは即完売。
マスプロモーションを仕掛けていないにもかかわらず、SNSを主戦場に一般ユーザーの投稿から大きく販売数を伸ばす。若い女性向け商品らしい草の根でブームを巻き起こした。
これを一過性のブームで終わらせなかった「二の矢」が、人気キャラクターとのコラボだ。18年2月頃から、「星のカービィ」「ポケモン(ピカチュウ)」(以上ベネリックと共同開発)、「ONE PIECE」(同バンダイ)などのキャラクターのケーブルバイトを毎月投入。
飽きさせない新作の連打で、コラボ商品だけで300万個を販売。17年に一世を風靡し、玩具界に衝撃を与えたハンドスピナーを「年間なら軽く超える」(キデイランド原宿店)と言わしめるほどで、18年8月、500万個の大台を突破した。
最近ではモバイルバッテリーの普及もあり、充電は外でするものになっている。そんな変化を捉え、人前でかわいらしく「魅せる充電」をしたい女子の心をつかんだヒットとなった。
[日経トレンディ2018年12月号の記事を再構成]
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