衣服だってジャストインタイム ブランドと工場を直結シタテル社長 河野秀和氏

――アパレルの流通や生産工程にどのような課題があったのでしょうか。

「アパレルは非常に産業構造がいびつな形になっています。例えば今、小売店やデザイナーさんが衣服を作りたいと縫製工場にアクセスしようと、ウェブで調べてもなかなかいい情報が出てきません。結局それをうまくやっているのが、製造小売業や大手の小売業です。ただ、それだとどうしても横の連携ができず、情報が共有されません」

「そこでまずは整理されていない情報を、一つのプラットフォーム上に集約する必要があると思いました。服作りを発注したいユーザー側と縫製工場を最適な状態でつないでいくために、データベースに情報を束ねていく必要があったのです」

――服を作りたいユーザーと縫製工場の関係をどう最適化させればいいのでしょう。

「我々のユーザーさんは非常に多種多様で、小さなブランドさんから大手の小売りさんまでいらっしゃるのですが、50~100着程度の小ロットの製品をタイムリーに作っていくことが昔から変わらない課題になっています。トレンドが移り変わるスピードが非常に早い中、多品種小ロットの服作りを解決するための仕組みが求められています」

「一方で工場側は春先や夏の終わりに生産が偏っており、それ以外の閑散期の製造ラインをいかにして埋めるのかが課題になっています。我々がその閑散期を工場横断的に把握することができれば、適切にユーザーとマッチングさせ、製造ラインの運用のでこぼこを平準化させることができます。このように、ユーザーと工場の課題を同時に解決するのが、我々シタテルの使命だと思っています」

■ブランドと縫製工場をデジタルでマッチング

――実際のところ、ユーザーと工場をどのようにマッチングさせていますか。

「ユーザーからの発注を受けると、シタテルのコンシェルジュ役が、工場データベースを検索します。発注の際の条件を入力すると、そのときに稼働できる工場が表示されます。工場ごとに過去にどんなアイテムを受注したかや、単価、設備などの情報が一覧できます。ほかの稼働可能な工場とも比較できます。最も条件が合う工場とマッチングさせ、案件を発注するという流れです」

「また、ウェブ上でユーザー、工場の双方とチャットができるので、シタテル上に案件の情報がストックされていきます。こうした情報は、ユーザーと工場に共有されます。その際、重要なのがログが残るという点です。今まではファクスや電話で、いわゆる『言った、言わない』のようなトラブルが起きることもありましたが、ログが残ることで、こうしたミスがなくなりました」

――シタテルのユーザー数、国内の連携工場数はどれぐらいですか。

「ユーザー数はもうすぐ1万に届きそうです。アパレルメーカーから、一般企業、個人デザイナーの方などが登録しています。幅広く、50着から1万着の幅で注文をいただいています」

「また、データベースに入力されている縫製工場は5000工場。そのうち、密接にやりとりする連携工場は約600工場です。連携工場を早いペースで拡大するというよりも、今は1工場当たりの稼働を広げることに注力しています。そうすることで、価格の安定や品質の安定につながっていくからです」

夏の装い直前講座
Watch Special 2020
Fashion Flash
夏の装い直前講座
Watch Special 2020
Fashion Flash