CMOへの道は? 「花形」ばかりでないマーケター「マーケティングの仕事と年収のリアル」 山口義宏氏

山口氏がこの本でマーケティング職の出世のプロセスをステージ別に例示したのも、そんな状況を考えてのことだ。山口氏の分類ではステージは6段階。見習い的な第1ステージから、マーケティングに強い経営トップという第6ステージまであり、第3ステージまでは専門職的な段階と位置づける。「人数が多いのは第1~3ステージ。専門性を深めていくキャリア段階といえる」(山口氏)

出世のステップ、上るには…

ステージ3の専門職でも、本当に一握りのトップレベルになれば報酬は高まるが、そうではない多数の人の報酬が大きく上がっていくのは第4ステージ以降のことが多いようだ。ただ、日本では第4ステージから先へ行くのに壁があるという。山口氏は「外資系以外では、マーケティング職がその専門性を保ったまま、経営層に上がっていく仕組みがまだ十分に整っていない」とみる。マーケターが経営中枢に加わる例は少なく、CMOを置く企業もまだ少数派だ。

もう一つの壁が、マーケティング分野の仕事に対する評価の難しさだ。優れたキャンペーンを企画してヒットにつなげた場合でも、実際の売り上げアップには複合的な要因が働いている。マーケティング単独の寄与率をはじき出すのが難しいため、評価もぼんやりしがちだ。

特に日本企業の場合、技術に裏打ちされた商品力が成長を引っ張ってきた歴史がある。競争力の源泉をマーケティングではなく、商品力に見いだす向きが多かったわけだ。山口氏は「技術優位性に支えられた成功体験は往々にして『ものづくり=王道、マーケティング=邪道』といった意識につながりやすい」と分析する。それだけにマーケティングの効果を例証するような形で、ビジネス面の成果を主張していくといった取り組みで評価を高めるような「社内での立ち回り方が大事になってくる」(山口氏)。

マーケティングの発想、経営戦略でも重要に

山口氏によると、マーケターの出世を巡る環境は徐々に改善しつつあるようだ。消費者が商品を選ぶ際、スペックや機能より、ブランドのイメージや会社が提供する「ストーリー」を重視する傾向は強まっている。消費者に訴えかける戦略を担うマーケティング職の役割も重みを増しつつある。

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