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キャリアの壁をどう破るか

好きな道を貫くには 土俵を変えてユニークさで勝負 WEF名誉会長・尾原蓉子氏×一橋大学名誉教授・石倉洋子氏

2018/11/28

――ユニークさや新しいものを生み出すためには、何が必要でしょうか。

尾原 1つは、光の当て方。これまでみんなが見てきたものとは違うところから切ってみることだと思います。視座や見る立場を変えると景色が変わってきます。とくに企業側の目でなく顧客の視点、顧客の論理からみることが重要で「Break Down the Wall」の本でも強調しています。

■人とは違う視点を磨く――オリジナリティーの壁

尾原蓉子
一般社団法人ウィメンズ・エンパワメント・イン・ファッション創設者・名誉会長。1962年東大卒、旭化成工業(現旭化成)入社。米ニューヨーク州立ファッション工科大学(FIT)に留学したほか、米ハーバード・ビジネス・スクールの経営者向けコース(AMP)も修了。財団法人ファッション産業人材育成機構が運営するIFIビジネススクールの学長など歴任。近著に「Fashion Business 創造する未来」(繊研新聞社)、これと2部作となる「Break Down the Wall 環境、組織、年齢の壁を破る」(日本経済新聞出版社)。

石倉 そうですね。違う観点を入れることで、新たな局面が開かれることがありますよね。そのときに必要なことが2つあると思うのです。まず、全体観を持つこと。尾原さんの本にある「2つ上の上司の立場から考えろ」というメッセージと同じで、全体を広く見て、自分はどういう位置づけで、何をやるべきかを考えるのです。もう1つが、実際にいろいろな経験を積むこと。そうすれば、どこかで見聞きした話と似ていることに気づけるようになるし、驚きや発見があります。「何か変だ」と感じること、そしてそれを大切にして「なぜだろうか」と考えることが大事ですね。

尾原 まったく分野の違う人に会ったり、外国に行ったり、普段は知らない環境に入ったりすることも、違った視点や違った発想につながります。以前、一橋大学の野中郁次郎先生も「外国に行くと、ひらめくことが多い」とおっしゃっていましたが、私も飛行機に乗った途端に、日常の雑用から離れて違う発想ができるようになります。現地に行けば、匂いも、空気も、会う人も違うので、感性が研ぎ澄まされるのだと思います。

石倉 そうですね。私もよくセミナーなどで「毎日、何か新しいことをやりましょう」と言うのですが、そうすると、みんな何か特別なことをしないといけないと考えがちです。実は、通勤時間、利用する駅、通る道を変えるだけでも、見える景色が違ってきます。日々やることをルーティン化すると、効率がよいし、余計なことを考えなくて済みますが、今日が昨日と同じで、明日も今日と同じだとすれば、これほどつまらない人生はありません。

尾原 人生を充実したものにするには、お金稼ぎだけでなく、「Purpose(目的)」を持ってキャリアや仕事に取り組めるといいと、私は考えています。石倉さんのPurposeは何でしょうか。

石倉 私の大きな願いは、性別、年齢、国、住んでいる場所に関係なく、誰でも自分がやりたいと思うことを学び、実際にできる社会をつくること。それには、個人が得意技を磨き、どこに行っても何とかなると思える人が増えればいいと思い、私なりにできることをいろいろとやってきました。それとともに、1人でもいいから、私と会ったことがインパクトとなって、人生が変わったと思ってもらえればいいですね。高校で講演をした後で、「あのとき話を聞いたから自分は今、英国にいます」というメールをもらったりすると、本当にうれしくなります。

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