――平泉医師「『正しい姿勢を意識しながら歩く』ことが大切です」
「正しい姿勢」というのは、「背筋を真っすぐにする」というイメージがあるが…?
――平泉医師「背筋を真っすぐにするだけではダメです。腰に負担がかかる姿勢になっている場合もありますから」
では、どうすれば?
――平泉医師「姿勢の正し方は簡単ですよ。壁に背面を当てるだけ。これで自分の姿勢がどれだけ悪いかをチェックし、修正もできます」
まずは、自分がどんな姿勢かをチェックしよう。背中側を壁につけて立つだけだ。
女性に多いのは「そり腰」、男性は「猫背」
私も早速、トライ。すると、腰がそっているのでウエストが壁から離れて、こぶし2つ分ほどの大きな隙間ができた。
――平泉医師「結城さんは女性に典型的な『腰のそりが強いタイプ』ですね。女性は男性に比べて体が柔らかいので腰をそらせがちなんです。この姿勢で歩くと、腰を支える腹筋を使えないので疲れやすく、腰に負担がかかりやすい。つまり腰痛になりやすい姿勢といえます」
実は私、普段から姿勢には気を使っていて背筋を伸ばすように心がけていただけに、自分の姿勢が悪いと思ったことはなかった。ましてや、この姿勢が腰痛の一因になっていたとは青天のへきれきだ(汗)
一方、男性は、猫背で腕を体の前にダラリと下げてしまうタイプが多いそうだ。
――平泉医師「猫背でうつむいて歩いている男性をよく見かけます。これでは背骨や首の湾曲部分が減少してしまうため、首と腰に負担がかかり、首こりや腰痛を招きやすくなります」
通常、背骨や首はS字状にゆるやかに湾曲することで重い頭を支え、地面からの衝撃をバネのように吸収して和らげている。この湾曲が正常な形でなければ、頭を支える首や、体の上下をつなぐ腰に負担がかかるのだ。
――平泉医師「姿勢の悪い人は体の軸がズレていて骨盤が後傾するため、股関節や膝が曲がってしまっているケースが少なくない。その場合も、腰や膝に痛みが出やすいですね」
急いで進もうとしているのか、前かがみになって歩く人もよく見かけるが、「これは意味のない歩き方」(平泉医師)。姿勢がゆがんでいるためにエネルギーが分散し、ひどくなると下半身の関節に負担がかかり、痛みが膝にまで広がるのだという。
姿勢によって、これほど痛みやこりを引き起こすリスクが潜んでいるとは驚きだ。そこで、「正しい姿勢に矯正するための壁立ちポーズ」のルールを教わった。
(1)肩甲骨と骨盤を意識して壁につけ、アゴは引いて視線は前に
(2)肩甲骨を寄せて胸を開く
(3)壁と腰の間の隙間がこぶし1つ分程度になるように腹部を引っ込める
(4)膝を伸ばす
(5)腕は体の前ではなく横に沿わせる
(6)体が真上に引っ張られているような感覚で、上半身を伸ばす
…これが、理想的な姿勢だ。
私も、再度トライ。壁に沿って立つだけなのに、このルールすべてを意識すると、かなり疲れる。ただ、毎日意識してこの立ちポーズを続けていれば、姿勢をつくる筋肉・腹筋や背筋が鍛えられ、腰を守りやすくなるのだという。
――平泉医師「姿勢はあくまで『クセ』。その感覚で立つものだと、体に覚えさせることが大切です。そのために、この『壁立ちポーズ』を普段から思いついた時に繰り返してください。続けていれば、壁を使わなくても正しい姿勢をつくれるようになりますよ」
正しい姿勢をキープしたまま歩くコツは?
体にだいぶ覚えさせたところで、正しい姿勢で歩くように心がけよう。信号待ちなどでもコマメに自分の姿勢を正すクセをつけておけば、崩れにくい。歯磨きの最中に鏡を、外出時にはガラス窓などに映った姿を見て、積極的に姿勢をチェックするとよいそうだ。
その見極めルールはこうだ。