NY州弁護士・山口真由さん 「絶対できる」が自信に
著名人が両親から学んだことや思い出などを語る「それでも親子」。今回はニューヨーク州弁護士資格をもつ山口真由さんだ。
――今回、お母さんと協力して本を執筆しましたね。
「これまで勉強法の本を執筆するなかで、勉強する習慣をつくってくれた親の役割は大きいのではと考え始めました。そこで母と一緒に勉強の基礎となる習慣作りの本を執筆しました。母の子育て論について発見も多かったです。両親は子どもへの無条件の信頼が強く、『絶対できる』と常にポジティブな言葉をかけてくれました。どうやら意識的にやっていたようです」
「先日も大学院で論文を少し褒められたと報告したら『当たり前じゃない、あなただもの』と。娘としてはもっと頑張ろうと思います。おかげで困難に直面しても、やればできるという根拠のない自信がありました。東大で首席になるとは想像していませんでしたが、途中からは目指せるのではと確信に変わっていきました」
――印象に残っているお母さんの言葉はありますか。
「『女性が社会で生きていくのは大変だから、資格をもって一生働ける仕事を手に入れなさい』です、ずっと頭にありました。母は医師で出産の度にキャリアを中断していますが、現場に戻ることができました。手に職をというのは私が司法試験を受けるきっかけにもなりました」
――お父さんも医師。
「父はルーティーンの帝王。起きる時間、ご飯の時間などがきっちり決まっています。リズムを崩さないようにすることが最優先。少しでも風邪気味なら翌日に響かないよう、たとえ私が帰省していてもすぐ寝てしまいます。寂しく感じますが、病院を開業してから一度も休んでいない姿勢は尊敬しています。北海道の震災時も、いつもと同じ時間に病院にいたそうです。勉強する習慣が染みついているのは父譲りかもしれません」
――大学卒業後、国家公務員になりましたが2年で辞めています。反対はされませんでしたか。
「辞めちゃうの? とは言っていたけれど、私が決めたことに反対も賛成もしなかったです。あなたの人生だからと。幼いころから両親が自分で何でも選ばせてくれたので、『自分で責任を持ってがんばろう』と意識することができたのだと思います。だからこそ、社会人になってからも自分なりに何をしたいのかなどを考え、常に挑戦できているのかなと思います」
――これからどんな関係を築いていきたいですか。
「私の両親はまだ現役で働いていて、自立しているので親孝行はまだまだこれからです。ただ両親とアメリカに行ったときに、英語でこう話すのよと教える機会があって、少しずつ親の知っている世界を超えていっているのかなと実感しました。今後は親を私が守ってあげる場面も増えてくると思うので、その準備をしていきたいです」
[日本経済新聞夕刊2018年11月20日付]
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