見波氏によると、上司が気を付けるべきコミュニケーションのポイントは大きく2つある。

まず、部下に対しては「こうしなさい」と指示をするだけではなく「思いをはせていること」を言動で示すことだ。業務について指示をした最後に「今話したスケジュールで大丈夫そう?」「この方向性でどうだろうか?」といった言葉を添えるだけで印象が異なるという。

見波利幸氏

「上司自身がたくさんのタスクを抱えて多忙であることは重々承知している。だが、この『一言』も添える時間がない、という言い訳は成立しない。部下とのコミュニケーションを円滑にするのは、実はそんなに難しいことではない」(見波氏)

次に、案件ごとの成果が確定してからの「ネガティブな評価」もご法度だ。「もう少し早くできるとよかったな」「何でここはこうできなかったんだ」――。ぼやきたくなることもあるかもしれないが、うっかり口を突いて出たこうした「文句」は、上司と部下の関係を決定的に破壊するきっかけになり得ると見波氏は強調する。

目指す課題や成果物のイメージ・納期、報告の頻度などは最初の指示の段階で方向性をすり合わせておくのが「デキる上司」の作法だ。その時は手数が増えるように感じるかもしれないが、アウトプットが出てきてからやり直すよりも、結果的にかかるコストは少なくて済む。しっかりと意志疎通を図ることが、上司のもう一つの役割である「部下を育てること」にもつながるという。

企業にできることもある

しかしその作法も、個人の心掛けだけでは実現しにくいことが少なくない。主任には課長代理、課長代理には課長、課長には部長という「上司」がいるからだ。

「管理職に対するマネジメント研修は有効だ。しかし現状では、特定の職層のみ、あるいは着任時のみにしか実施していない企業が多い。例えば課長職だけに研修を行っても、部長職にも同じ研修を施さなければ組織全体として機能しない」(見波氏)

上司と部下の信頼関係が築かれれば、業務の生産性が高まる。チームの雰囲気がよくなり、離職のリスクも減らせる。管理職同士が連携を取り合い、マネジメントを最適化できる仕組みづくりに、企業も関わっていくことが求められている。

(ライター 加藤藍子)

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